不幸を撒き散らす悪鬼に取り憑かれるヒロイン、韓国発オカルトミステリー『悪鬼』はディズニープラスで配信中

キム・テリが魅せる、人間の表と裏の顔

夏といえば怪談・ホラーの季節。そんな今の時季にピッタリの韓国ドラマ『悪鬼』がディズニープラスにて独占配信されています。謎の悪鬼が取り憑き、不審な死が次々と引き起こされるオカルトミステリー。脚本はNetflixで話題のオリジナルホラー『キングダム』で知られるキム・ウニが手がけています。先読みのできない一癖あるストーリー展開が魅力の作品です。

欲望を糧に成長する悪鬼

母親と二人暮らしで貧しい生活をおくるク・サニョン。ある日、母の口から、幼い頃に亡くなったはずの父が実は最近まで生きていたという衝撃の事実を知らされます。

そんなサニョンのもとを民俗学者であるヨム・ヘサンが訪れ、サニョンが悪鬼に取り憑かれており、このまま放っておくと周囲に不幸が撒き散らされると警告します。悪鬼は人の欲望を糧に成長すると告げるヘサン。当初は忠告を意に介さなかったサニョンですが、ある学生の不審死をきっかけに、ヘサンの言葉を思い出すことになります。次第に強くなる悪鬼の力を自分でも知覚できるようになったサニョンは、ヘサンと共に自らにかかった呪いを解く旅へと向かいます。

悪鬼に取り憑かれたヒロインが、知らぬ間に加害者になってしまう恐怖を描いたホラー作品。悪鬼は欲望や恨みの感情に強く反応するため、サニョンが何か不満を抱くごとに彼女の中の悪鬼が成長します。

全12話からなる本作では、そんな悪鬼と対峙しつつ、理不尽な死を遂げた人の怨霊を鎮めるエピソードなども登場します。悪鬼に取り憑かれたことで霊視能力を獲得するサニョンが難事件を解決する、多重構造的なミステリーです。

ヒロイン演じるキム・テリの魅力が全開

本作の主人公・サニョンを演じるのは、世界的巨匠パク・チャヌク監督の『お嬢さん』で長編映画デビューを果たしたキム・テリ。近年は製作費20億円以上の超大作SF映画『スペース・スウィーパーズ』でもメインキャストとして出演し、活躍の場をどんどん広げている注目の女優の一人です。

サイコスリラー作品である『お嬢さん』で見せた大胆な演技力は本作でも健在。悪鬼に取り憑かれた時の表情と普段の表情はまるで別人かと思うほどで、その巧みな演じ分けに目を奪われます。

彼女と行動をともにする民俗学者・ヘサンを演じるのは、『サイコだけど大丈夫』などで知られるオ・ジョンセ。日本にもファンの多い彼は今回、周囲に変人と思われながらも母を殺した悪鬼を執念で追い続ける、正義感の強いキャラクターを演じています。ヒロインのサニョンを導く役割もあり、渋い演技で視聴者を魅了します。

人を自殺に追い込む悪霊というのは、非常に恐ろしいものです。物語の中で、韓国の自殺率がOECD加盟国中で最も高いことにも触れられますが、そんな韓国社会の現実を背景にした作品とも言えるでしょう。

ちなみに近年の韓国映画・ドラマ界では、ゾンビサバイバル系の『Sweet Home〜俺と世界の絶望〜』や、エクソシスト系と言われる『ディヴァイン・フューリー』など、ホラー作品が数多く製作されています。本作『悪鬼』は、カルト信仰的な雰囲気を持つオカルト系でありながらアクション要素もあり、韓国ホラー特有の魅力が詰まった充実度の高い作品に仕上がっています。

『悪鬼』を見る(ディズニープラスで配信中)

『悪鬼』のストーリー

扉の外は別世界だ。扉を開けると、そこには悪鬼がいる。悪鬼に取り憑かれた女と、その悪鬼が見える男が、5種類の神体を取り巻く疑問の死を暴く韓国型オカルトミステリー。亡くなった父親の遺品を受け取って、悪鬼に取り憑かれた貧しい生まれのク・サニョン。鬼と神を見ることができる民俗学者ヨム・ヘサンと出会い、悪鬼に関する真実を追いながら、自分が知っていた世界とは全く違う世界と向き合う。

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SORA