第43回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作『新聞記者』などで知られる藤井道人監督。Netflixで配信中の待望の新作『パレード』は、この世を去った人々の想いを描いた心温まるストーリーです。
この世に未練を残し、「その先」に行けずにいる故人が過去と向き合う物語。新月の夜、灯りを手にそれぞれ会いたい人の元へと列をなす彼らの姿を「パレード」に例え、ファンタジー映画のように煌びやかな色彩で描き出します。ストーリーはもちろん、その映像の美しさも見どころの一つです。
大切な人に想いを伝えたくなる、愛の物語

大震災で津波の被害を受け帰らぬ人となってしまった美奈子は、多くの瓦礫とともに波打ち際に打ち上げられます。目を覚ますとすぐに逸れた息子を探しに向かいますが、見つけ出すことができません。
そんな彼女は偶然通りかかったアキラと名乗る若い男性に、ある場所へ一緒に来るよう促されます。そこにいたのは元ヤクザの勝利や、元映画プロデューサーのマイケルなど、この世に未練を残し「その先」へと行けないでいる幽霊たちでした。美奈子はそこで、自分自身もすでに死んでいるという事実を知ることになるのです。
自分の想いを遺された大切な人に伝えるため、協力し合いながら共同生活を送る人々。彼らと関わる中で次第に自身の死を自覚していく美奈子ですが、彼女は最愛の息子と再会し、その想いを伝えることができるのでしょうか。
藤井道人監督の感性と豪華俳優陣の個性に魅了される
1986年生まれの藤井道人監督は、10代の頃からPVなどの映像作品を手掛け、今や映画監督として話題となる作品を創り出している注目の若手クリエイターです。『オー!ファーザー』で映画監督デビュー後、『青の帰り道』『デイアンドナイト』などを製作。『新聞記者』で日本アカデミー賞を受賞した後に手がけた『余命10年』は、興行成績30億円を超える大ヒットを記録しました。
『余命10年』で音楽を担当したRADWIMPS・野田洋次郎とは本作でも再びタッグを組み、話題に。「別れの先にある、再会」をテーマに書き下ろしたという主題歌『なみしぐさ』は、目には見えない「その先」を彩り、映画の余韻と共に「明るい未来」を感じさせてくれる一曲となっています。
キャストも豪華俳優陣が勢揃い。主演の長澤まさみをはじめ、共演者には坂口健太郎、横浜流星、リリー・フランキー、寺島しのぶ、田中哲二、森七菜、舘ひろしなど、主役級の俳優陣が登場します。 彼らの演じる個性豊かで思わずクスッと笑ってしまうキャラクター達の存在がこの作品の大きな魅力です。
日大芸術学部出身の日韓バイリンガル。積極的に韓国のエンターテイメント業界とも交流をもち、第27回釜山映画祭に参加するなど、さまざまな経験を元に韓国のエンタメやお役立ち情報に関連する記事を執筆中。
『パレード』を見る(Netflixで配信中)