『ウエストサイド物語』の音楽を手がけるなど、アメリカ音楽界屈指の指揮者・作曲家として知られるレナード・バーンスタイン。彼とその妻であり女優のフェリシア・モンテアレグレの生涯を描いた映画『マエストロ その音楽と愛と』が現在Netflixで配信中です。
名優ブラッドリー・クーパーが、『アリー/スター誕生』に続いて監督・脚本・主演を務めた本作品。スティーヴン・スピルバーグやマーティン・スコセッシといった映画界の巨匠がプロデューサーを務め、第96回アカデミー賞では作品賞・主演男優賞を含む7部門にノミネートされるなど、話題沸騰中の作品です。
音楽の功績の裏にある夫婦の深い愛情を描いた作品
1943年、ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団の副指揮者だった25歳のレナードは、病気で指揮ができなくなったブルーノ・ワルターの代役を務めて大成功の末、一躍有名になります。
レナードは同時期に女優のフェリシア・モンテアレグレと出会い、結婚。3人の子供をもうけて幸せな日々を過ごしていました。
一方でレナードには有望な若き男性との恋の噂が絶えず、それが原因で家族仲には亀裂が入ってしまいます。それでもレナードを愛していた妻のフェリシアは家庭を守ろうと必死になりますが、ある日、彼女が病気を抱えていることが判明します。
回想シーンにあたる映画の前半部分は、随所に散りばめられたロングショットとモノクロの映像効果で、まるで古典映画を観ているかのようです。途中から全く異なる作品のように雰囲気が一変するのが印象的。特殊な撮影技法によって、時代の流れと登場人物の感情を肌で感じることができる作品です。
息の合った夫婦の姿に自然と涙が溢れる

主人公レナード・バーンスタインを演じたブラッドリー・クーパーは、1998年にドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』でデビュー。2009年にはコメディ映画『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』で大ブレイクし、続編2作でも主演を務めています。その後『世界にひとつのプレイブック』で第85回アカデミー賞主演男優賞に初ノミネートを果たすと、以降俳優、監督として数々の映画賞にその名が上がるようになりました。
レナードの妻、フェリシア・モンテアレグレ役を演じたのはイギリス出身の舞台女優キャリー・マリガンです。映画『プライドと偏見』でキーラ・ナイトレイの妹役を演じ一躍脚光を浴びた彼女は、次作『華麗なるギャツビー』でヒロインに抜擢されるなど、演技力の高さが長年注目され続けています。
この2人が演じる夫婦が少しずつ年老いていく様子は、本作でも特に印象に残る部分です。特殊メイクを駆使して再現された姿は、まるで本当に長年連れ添った夫婦のよう。流れる時の中で愛を重ねる夫婦からは、何とも言えない切なさと哀愁が漂います。
日大芸術学部出身の日韓バイリンガル。積極的に韓国のエンターテイメント業界とも交流をもち、第27回釜山映画祭に参加するなど、さまざまな経験を元に韓国のエンタメやお役立ち情報に関連する記事を執筆中。
『マエストロ その音楽と愛と』を見る(Netflixで配信中)