2023年公開の話題作『リトル・マーメイド』が早くもディズニープラスで独占配信中です。本作は、1989年に製作されたディズニーアニメーション映画のリメイク版。海底世界に暮らす16歳の人魚姫・アリエルが地上に憧れ人間の男性と恋に落ちるこの物語は、ディズニー・アニメーションの第二黄金期が始まるきっかけとなった名作です。
当時の女の子たちが夢見た、快活で勇気あふれるヒロインが今度は実写版として登場。現代の価値観を大切に、憧れや夢を持つこと、そして素敵な出会いの変わることのない美しさを高らかに謳いあげています。
好奇心旺盛なアリエルがさらにたくましいヒロインに
海底世界「アトランティカ」を治めるトリトン王の末娘・アリエルは、地上の世界に憧れ、度々陸の上にまで出かけていく快活な性格の人魚です。トリトン王は妻を人間に殺された過去があり、アリエルも地上に出ることは禁止されていますが、彼女の冒険心は止まりません。
ある日、難破した船から人間の男性・エリックを助けたアリエルは、彼が意識を取り戻す前にその場を去ります。しかしその情報がトリトン王の耳に入ってしまい、王はアリエルの地上コレクションを破壊してしまうのです。失意のアリエルは、自分が助けたエリックのことが気になって仕方ありません。そこで彼女は、海の魔女・アースラと取引し、3日間だけ人間になり変わってエリックに会いに行くことを決意します。
人間として過ごすうちにエリックに惹かれていくアリエルですが、この取り引きの代償としてアースラから声を奪われた彼女は、自分が彼を救ったという事実を伝えることができません。そうこうしているうち、次第にアースラはアリエルの声を使ってエリックに接触し始めます。
大筋のストーリーは1989年公開のアニメーション版を踏襲していますが、本作ではまた違った試みが見られます。例えば高圧的なイメージが強いトリトン王の描写は、過去のエピソードが加わったことによって、ただの横暴な父親像とは異なる側面を感じさせます。また、家柄のせいで自由を奪われているエリックも、実はアリエルと同じような憧れを抱いていることが想起され、この共感性が2人の関係をより温かいものへと昇華させています。そして、クライマックスは、オリジナルのアニメーション版とは大きく異なる展開が待ち受けています。
ハリー・ベイリーの圧倒的な歌唱力
本作はアニメーション版と同様、ミュージカル映画として製作されています。そのため、最大の見せ場となるのはアリエルたちの歌唱シーンです。本作でアリエルを演じたのは、歌手であり俳優のハリー・ベイリー。これまで数本の作品にしか出演したことのなかった彼女ですが、ここでは圧巻の歌唱力を披露しています。彼女は11歳で姉のクロエと共にYouTubeチャンネル「クロエ×ハリー」を開設。ビヨンセのカバー曲をアップして一躍有名となってテレビ番組でも取り上げられたほか、なんとビヨンセ本人にもその実力が認められ、彼女のツアーにも出演しています。
2020年にはグラミー賞で複数の賞にノミネートを果たしており、順調にキャリアを築いた彼女たちは、音楽界ではすでによく知られた存在です。本作でもその歌唱力が遺憾なく発揮されています。
監督を務めたのは、ブロードウェイ出身で、これまでも『イントゥ・ザ・ウッズ』や『メリー・ポピンズ リターンズ』などのディズニー映画を手がけてきたミュージカルの名手、ロブ・マーシャル。音楽はもとより、海中が主な舞台である今作では、遊泳する人魚と魚のコラボレーションをCGを駆使して優雅に描いています。
誰もが知る名作の実写化という困難なミッションを見事に成し遂げた作品。夢と好奇心を持ち続けることの変わらない大切さと新たな価値観とを融合させた、現代のおとぎ話です。
『リトル・マーメイド』を見る(ディズニープラスで配信中)
ディズニー・アニメーションが誇る普及の名作の実写版。美しい歌声を持ち地上に憧れる人魚アリエルが、運命の出会いとともに未知の世界に旅立つ冒険ファンタジー。
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