噂の中年グループが25年ぶりにカムバック、悲哀と人情溢れる『フル・モンティ』はディズニープラスで配信中

1997年に公開され、世界中で大ヒットを記録したイギリス映画『フル・モンティ』。失業した中年男性たちがストリップ・ショーに挑戦する、という意外なアイデアが好評を博し、アカデミー賞にもノミネートされた傑作です。その25年ぶりの続編シリーズがディズニープラスで独占配信されています。

職を失い、「脱いでしまった」おじさんたちの気になるその後のストーリー。ダメダメすぎる男たちが、仲間や家族のため必死にもがく姿に感動する、味わいのあるドラマシリーズです。

舞台はイギリスの地方都市・シェフィールド。かつては製造業で栄えていました。現在は衰退の一途をたどり活気を失っています。25年前にこの街で失業し、男性ストリッパーとして踊ることを決意したかつての中年男たちも、相変わらずうだつの上がらない様子。

ガズは、シングルファーザーとして一人息子のネイサンと暮らしていました。その後、再婚や離婚を繰り返して今は一人暮らし。2番目の妻との間に娘のデスティニーがいますが、いい関係性を保つのはなかなか難しく、学校をさぼり万引きするような不良に育ってしまっています。

ガズの親友・デイヴは学校経営者である妻を持つかたわら用務員の仕事をしており、今だ親友に振り回される日々。学校の予算運営に頭を悩ませるデイヴの妻は、ストレスから飛んでもない行動に走ってしまいます。ホースは体調を崩し働くこともままならない様子。小さなカフェを経営しているロンパーは、カフェの経営状態が芳しくなく、借金を抱えています。そして、気弱な自分をパートナーに認めてほしい一心の彼にも、不測の事態が訪れます。

ストリップ・ショーで街を沸き立たせた過去の栄光を今も大切にしている主人公たちですが、人生はそう思うようにはいかないもの。第1話の冒頭でイギリスの首相が何度も変わり、その度に経済状況が悪化するという皮肉なモンタージュ映像が流れますが、本作の舞台・シェフィールドもますます活気を失っているように見えます。

本作はそんな苦しい状況にも屈せず、団結して困難と向かい合っていく友情ストーリー。人情味を感じさせるとともに、地域コミュニティの大切さについても考えされられます。

映画版が公開された1997年。イギリスの失業率の増加と経済格差の広がりは大きな社会問題となっており、そうした世相を笑い飛ばすかのようなエネルギーに満ちた前作は世界中で大ヒットを記録しました。

その熱量は続編となる本作にも引き継がれています。男性ストリップ・ショーのような奇抜なイベントこそ登場しませんが、今回も現実の厳しさを前に、主人公たちが多くの騒動を巻き起こしながら大活躍してくれます。25年の歳月で外見的には年老いても精神的にはまだまだ元気な彼らの姿は、観る人を元気づけてくれるでしょう。

爆笑を誘う内容ではありませんが、悲哀に満ちたユーモアに可笑しさを感じるとともに、温かい気持ちにさせてくれる素晴らしい人間ドラマです。