ディズニープラスで配信中のオリジナルドラマ『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』は、1人の作家が生み出した空想世界のキャラクターたちが、現実世界に舞い込んでくる独創的なストーリー。
現実と想像の世界を実写とアニメーションで描き分ける、新たな手法が話題を呼んでいます。日本のドラマシリーズとしては珍しい本格ファンタジーであり、配信によって切り開かれた日本ドラマの新たな可能性を示した作品でもあります。
異世界と現実世界
横須賀で父親と2人で暮らす女子高校生・ナギは、なかなか周囲に馴染めず、鬱屈した日々を送っていました。作家だったナギの母親は数年前に他界。亡くなる直前の母親が「おかしくなっていた」と父親は言いますが、ナギはその事実がどこか腑に落ちない様子です。
一方、異世界「ウーパナンタ」には崩壊の危機が迫っていました。半人前のドラゴン乗り・タイムは、英雄のアクタに憧れて彼の空挺団についていきますが、大ボスのジャイロとの戦いでアクタはどこかに消されてしまいます。失意のタイムはアクタを探すため異端の研究者・サイラと出会いますが、そこで「理(ことわり)の外」の存在を知ります。タイムはアクタを連れ帰るために、「理の外」である現実世界に行くことを決意するのです。
その後、タイムとナギは出会い、共にアクタの存在を探し求めますが、見つけ出したアクタは変わり果て、そこにかつての英雄の姿はありませんでした。さらに、この現実世界には、アクタよりも以前に飛ばされてきた英雄がいることもわかってきます。
急きょ訪れた思いもよらない出来事に戸惑い、刺激を受けながら成長していくナギ。2つの世界で揺れ動く主人公たちの葛藤が、これまでにないダイナミックな手法で描かれます。タイムの乗る小さなドラゴン・ガフィンはアニメパートでは手描きですが、現実パートでは3DCGで表現されています。3DCGのクオリティは非常に高く、ナギとタイムがガフィンに乗って空を飛ぶシーンなどは、開放感に溢れた爽快な気分が味わえます。
空想と現実は共存できるのか
本作の現実パートは、横須賀を主な舞台として撮影がおこなわれています。タイムやアクタたちの出身地・ウーパナンタはアニメによって描かれ、実写とアニメで表現された2つの世界を行ったり来たりするユニークな手法に注目が集まっています。
現実の世界は空想の世界ほど理想的ではない、というシビアなメッセージが込められているのもこの物語の特徴です。現実世界に長く暮らした架空のキャラクター達は皆、どうして英雄であることを止めてしまうのか。過酷で理不尽な現実を前に、確かに存在する「生きる意味」を懸命に伝えようとしているストーリーです。
タイム役は若手実力派俳優として人気急上昇中の奥平大兼、アクタ役には実写版『ONE PIECE』のゾロ役でも知られる新田真剣佑、スペース役には森田剛が扮しています。この3人はアニメパートでも同キャラクターの吹替を担当しており、実写とアニメ双方でシームレスな芝居を披露しています。
主人公のナギ役はモデル出身の中島セナ。ポカリスエットのCMで注目を浴びた彼女は、本作が初めての主演となります。ナギの親友・ソンには、こちらもモデル出身のエマニエル由人が起用されています。その他、サイラ役を俳優・浅野忠信とミュージシャン・CHARAの長女であるSUMIRE、ナギの母親役を田中麗奈が務めるなど、特徴あるキャスティングも見どころの一つです。
多くの外国人が暮らす横須賀を舞台に、ミックスルーツと思しきナギの同級生が登場したり、ジェンダーフリーな制服スタイルの女子高生が現れたりと、さまざまな多様性にも焦点を当てた作品。異なる価値観、そして異なる世界の住人は果たして共存することができるのでしょうか。
『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』を見る(ディズニープラスで配信中)
横須賀で暮らす女子高生ナギと、異世界「ウーパナンタ」からやってきたドラゴン乗りのタイム。二人の出会いから始まる壮大な冒険ファンタジー。
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