格安SIMサービスのmineo(マイネオ)が提供する「マイそく」は、データ無制限となる代わりに通信速度が制限されるユニークなプランです。
データ通信量から選ぶタイプのプランが一般的な中で、通信速度から選ぶマイそくはmineo独自といえます。マイそくを契約するとどれくらいデータ通信を快適に利用できるのか興味をもっている人も多いでしょう。
そこで本記事では、マイそくの特徴やデメリットについて解説。マイそくの「スタンダード」(最大通信速度1.5Mbps)を実際に使ってみて、速度制限がかかった状態でどれくらい利用できたのかなどもレビューします。
mineo「マイそく」ってどんなプラン? 特徴・デメリットを解説
「マイそく」はデータ無制限となる代わりに、通信速度が制限されるユニークなプランです。通信速度の違いで、以下4つのプランから選べます。
| 月額料金 | |
|---|---|
| スーパーライト(最大32kbps) | 250円 |
| ライト(最大300kbps) | 660円 |
| スタンダード(最大1.5Mbps) | 990円 |
| プレミアム(最大5Mbps) | 2200円 |
いずれのプランもデータ通信量が無制限で、選んだ最大通信速度によって月額料金が異なります。直近3日間で10GB以上使うと速度制限がかかるため、大容量のデータ通信を継続しておこなう使い方には向いていません(後述)。
普段使いであれば最大1.5Mbpsのスタンダード、もしくは最大5Mbpsのプレミアムで満足できるでしょう。通話専用のサブ回線を安く持ちたいという人は、最大32kbpsのスーパーライトや最大300kbpsのライトが選択肢に入ります(後述)。
公式サイトを見る
特徴1:通信速度を制限する代わりにデータ無制限のユニークなプラン
mineo「マイそく」の料金プラン
「マイそく」は、通信速度を制限する代わりにデータ通信が無制限になるユニークなプランです。データ通信量によって選ぶプランとは異なり、どのプランを選んでも基本的にはデータ通信は使い放題です。
しかし、選んだプランによって通信速度が異なります。通信速度が最も遅い「スーパーライト」の最大32kbpsというのは通常のデータ通信には耐えられないほどの速度なので、日常使いには向きません。
マイそくのスタンダードプラン。ユーザーアンケートによれば、日常使いするぶんには困ることはなさそう
最大1.5Mbpsの「スタンダード」であれば日常使いには問題なさそうです。mineoが実施したユーザーアンケートによれば、スタンダードでも9割以上のユーザーがWebサイトの閲覧やYouTubeなどの動画視聴を利用できたと回答しています。
平日の昼間12時~13時は通信速度を制限されたり(後述)、3日間で10GB以上使うと速度制限がかかったり(後述)することがある点には注意が必要です。
よほどヘビーな使い方をしないのであれば、スタンダードかもうひとつ上位の「プレミアム」が向いています。通信速度が制限されていない時間帯であればデータ通信量を気にせず使えるというのがマイそくのメリットです。
月末近くにデータ通信容量の節約をしているという人、または速度制限を受けてデータ通信量を毎月買い足しているという人であれば、これらの悩みを解消できるプランと言えるでしょう。
特徴2:通話料金は業界水準の約半額、通話専用回線などサブ回線にも最適
mineoの通話料金は、専用アプリ「mineoでんわ」を使うことで30秒ごとに10円で通話できます(国内通話の場合)。通話料金の業界水準は30秒あたり22円なので、mineoなら通話料金を相場の約半額程度に抑えられます。
mineoでんわアプリの通話画面
電話番号の先頭にmineo独自の特番(プレフィックス)がつく
専用アプリの利用には回線契約時に申し込みが必要ですが、追加の料金はかかりません。スーパーライト(最大32kbps)やライト(最大300kbps)のプランを契約して通話専用のサブ回線にするという使い方もあります。
また、mineoでは月額1210円の「時間無制限かけ放題」や月額550円の「10分かけ放題」が提供されています。たとえば、最大通信速度300kbpsのライト(月額660円)+10分かけ放題(月額550円)の組み合わせなら、合計月額1210円で通話専用回線を持つことができます。
特徴3:1回198円で24時間高速データ通信使い放題
「24時間データ使い放題」を購入すると高速データ通信が24時間利用可能になる
マイそくには、専用のオプションサービス「24時間データ使い放題」が用意されています。利用料金は1回あたり198円で申し込みから24時間、マイそくのプランごとの最大通信速度や速度制限が解除されて高速データ通信が使い放題になります。
たとえばスーパーライト(最大通信速度32kbps)を利用中に高速データ通信が必要になった、あるいは平日昼間の速度制限を一時的に解除したいといったシーンで24時間データ使い放題を活用できます。使い放題の適用期間が終了しても自動で更新されるわけではないので、必要なときだけ申し込めます。
24時間データ使い放題の申し込みはmineoのWebサイトかmineoアプリからおこない、購入後数分でサービスが適用されます。ただし、申し込む際にもデータ通信が発生するので、速度制限が発生する前、もしくはWi-Fiに接続した状態で申し込むとスムーズです。
デメリット1:平日の昼間は通信速度が制限される
12時台になると通信速度が制限される
平日昼間(月~金)の12時~13時は、通信速度が最大32kbps(プレミアムのみ最大200kbps)に制限されます。後述しますが、Webサイトの閲覧や音楽・動画配信サービスの利用、SNSのチェックも平日昼間の速度制限中は困難になります。
平日昼間の速度制限中は、Wi-Fiが使える環境であればWi-Fi接続を利用する、もしくは「24時間データ使い放題」オプションに申し込んで速度制限を解除するといった対応が必要です。
デメリット2:3日間で10GB使うと通信速度が制限される
「マイそく」はデータ無制限を謳いますが、直近3日間で10GB以上使うと通信速度が最大32kbpsに制限されます。データ通信量に事実上の上限があるため、テザリングを利用した大容量のデータ通信やヘビーなオンラインゲームのプレイなどには向いていません。データ通信量超過で速度制限がされた場合、制限日の翌日に解除されます。
直近3日間10GB超過で速度制限をされた際は、Wi-Fiが使える環境であればWi-Fi接続を利用する、もしくは「24時間データ使い放題」オプションに申し込んで速度制限を解除するといった対応が必要です。
前日までのデータ通信量がmineoアプリでチェックできる
なお、mineoアプリで前日までのデータ通信量を確認できます。データ通信の使い過ぎが気になった時や、日頃使っているデータ通信量がどれくらいなのか把握する際に活用するとよいでしょう。
デメリット3:通信速度の遅いプランはデータ通信の利用には向かない
マイそくの通信速度の目安
スーパーライト(最大32kbps)やライト(最大300kbps)といった通信速度の遅いプランは、月額料金こそ安いですがデータ通信の利用には向いていません。テキストベースのWebサイトでも表示に時間かかかり、音楽のストリーミング再生やYouTubeなどの動画視聴も耐えられない通信速度となっています。
mineoによれば、スーパーライトはメールやメッセージが利用できる程度で、そのほかの利用には耐えられません。ライトならLINEの通話やQRコード決済は問題なく利用できますが、Instagramや動画視聴などは快適に利用できないとのことです。
通信速度の遅いプランは、前述のように通話専用のサブ回線としての運用に適しています。モバイルデータ通信が必要になった際は、「24時間データ使い放題」オプションを別途購入すれば解決できます。
実際に使って感じたmineo「マイそく」の速度をレビュー
実際にmineoの「マイそく」を月額990円のスタンダード(最大1.5Mbps)で契約して使ってみました。SIMタイプは物理SIMで、回線はドコモ回線のDタイプを選択しています。
公式サイトで案内されている通信速度に近い結果が計測できた
「マイそく」スタンダード(最大1.5Mbps)で計測。理論値に近い速度だが、必ずしも1.5Mbpsが出る保証はない
平日昼間(月~金)の12時~13時は最大通信速度が32kbpsに制限される
「マイそく」の通信速度はベストエフォート型を採用しています。最大通信速度を保証するものではなく、最良の環境で通信をおこなった結果が提示されている通信速度となるわけです。
マイそくのスタンダードでの場合、公式サイトでは通信速度が最大1.5Mbpsと提示されています。参考までにマイそくのスタンダードで通信速度を計測してみたところ、1.4Mbpsと提示されている速度に近い結果となりました。ただし、ベストエフォート型の特性上、すべての人が良い結果が得られる保証はありません。
また、マイそくは平日12時~13時に最大32kbps(プレミアムのみ最大200kbps)に制限されます。実際に平日の昼間に計測すると、15kbpsと提示されている数値よりも低い結果となりました。もし仮に32kbpsに近い結果であったとしても、昼間の利用は耐えられません。
各アプリ・サービスを使ってみた実体験まとめ
前述のmineoによるユーザーアンケートでは、スタンダード利用者のうち90%以上がWebサイトの閲覧や音楽ストリーミング、YouTubeなどの動画視聴を利用できたと回答しています。
スタンダードを実際に使ってみてできたことと気になった点、さらに昼間の速度制限時の影響を以下にまとめました。
| 最大1.5Mbpsでのデータ通信時 | 32kbpsの速度制限時(12時~13時) | |
|---|---|---|
| 音楽ストリーミング(Apple Musicを利用) |
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| 動画視聴(YouTubeアプリを利用) |
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| Webサイトの閲覧(Safariを利用) |
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| LINE |
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| X(旧Twitter)・Instagram |
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| アプリストア(App Storeを利用) |
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| QRコード決済(PayPayを利用) |
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| メールアプリ(Gmailを利用) |
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音楽ストリーミング:12時台を避ければ安定して楽しめる
平日12時台になると音質を下げても再生ができない
音楽ストリーミングサービスはApple Musicを利用しましたが、高音質やロスレスなどどの音質でも問題なくストリーミング再生ができました。しかし、平日12時台になると音質を下げてもバッファリングが続いてストリーミング再生ができなくなりました。
音楽ストリーミングサービスについては、平日12時台を避ければどの時間帯でも安定して楽しめるはずです。
YouTube:SD画質以下ならスムーズに視聴できる
YouTubeの場合、HD画質やフルHD画質、それ以上の画質は最大1.5Mbpsの速度だと安定して視聴できない
YouTubeなどの動画視聴は、480pのSD画質もしくはそれ以下の画質であれば比較的スムーズに視聴できます。720pのHD画質や1080pのフルHD画質は、筆者の環境だとバッファリングによる途切れが連続して視聴が困難でした。
動画視聴は画質にこだわりがなく、SD画質程度で満足できるのであればスタンダードでも十分です。HD画質やフルHD画質で楽しみたい場合は、プレミアムを選択したほうがいいかもしれません。
Webサイト:テキストベースのサイトなら快適に閲覧できる
ブラウザを使ったWebサイトの閲覧は問題ない
Safariなどのブラウザを使ってのWebサイトの閲覧は、テキストベースのWebサイトであれば快適に閲覧できる印象です。画像が多く使われていたり、動きのあるWebサイトだと表示速度が気になります。
なお、平日12時台はGoogle検索は利用できるものの、検索結果の表示が遅くなります。テキストベースのWebサイトでも平日12時台はデータが受信できず、タイムアウトで表示されないなど閲覧が困難です。
LINE:メッセージの送受信なら平日12時台でも利用可能
トークのメッセージやスタンプは平日12時台でも送受信できるが、画像や動画は最大32kbpsだと送受信できない
使用頻度が高いと考えられるLINEは、トークのテキストメッセージやスタンプの送受信であればどの時間帯でも問題なくできました。画像や動画の送受信については、通信速度の影響なのか多少時間がかかる印象です。なお、32kbpsの速度制限がかかる平日12時台は画像や動画の送受信ができませんでした。
また、LINEの音声通話は12時台を除けば安定して利用できます。ただしビデオ通話に関しては、相手側から見て映像が止まったりコマ送りのように映ることがありました。
X・Instagram:画像や動画の投稿には時間がかかる
Xのポストは表示されるが、画像や動画の表示速度の遅さは気になる
平日12時台はXのポストやタイムラインが表示されず、使用するのは困難
X(旧Twitter)やInstagramといったSNSも、Webサイトの閲覧と同様にテキストはスムーズに表示されますが、画像や動画の表示速度が気になります。画像や動画の投稿に関しては、速度制限のない他のモバイル回線よりも時間がかかる印象です。
速度制限がかかる平日12時台になるとポストやタイムラインが表示されず、通常の使用ができませんでした。
アプリのダウンロード:時間はかかるが利用可能
アプリのダウンロードやアップデートは時間がかかる
アプリストアからのアプリのダウンロードやアップデートは、時間はかかりますがスタンダードでもできます。
データ容量の多いアプリであれば、気長に完了するのを待つかWi-Fi環境で利用するといいでしょう。すぐにダウンロードして使いたいアプリがある場合や、急なアップデートの配信時などは、スタンダードだとダウンロード時間の長さにストレスを感じるかもしれません。
PayPay:平日12時台のランチは要注意
PayPayなどのQRコード決済を利用する場合、平日12時台はオフラインで利用したほうがスムーズ
QRコード決済はPayPayアプリを利用しましたが、決済用のQRコードやバーコードは問題なく表示されました。ただし、速度制限が実施される平日12時台は、決済用のQRコードやバーコードが表示されない、もしくは表示まで時間がかかります。
平日12時台でランチの支払いにPayPayやd払いなどのQRコード決済を利用したい人は、オフライン環境でアプリを起動して決済するとスムーズです。しかし、QRコード決済対応店舗に設置されているQRコードを読み取る「スキャン支払い」は、オフライン環境だと利用できないので注意が必要です。
メール:平日12時台のやりとりは注意が必要
メールに関しては、スタンダードでも速度制限がされていない時間帯であれば問題なく送受信可能です。1~2MB程度の画像など、容量が軽いファイルであれば添付ファイル付きのメールもスムーズに送受信できます。
速度制限がかかる平日12時台は、テキストメールであれば受信できます。ただし、相手がメールを送信した時間とこちらが受信した時間にズレが生じました。相手がメール送ってから約1分後に受信しており、許容できる範囲の時間差と考えていますが、通信環境によっては速度制限が解除された13時以降に受信する可能性もありそうです。
平日12時台だと、容量の軽いデータでも添付ファイルの表示やダウンロードは困難です。12時台にメールのやり取りを多くする場合、Wi-Fi接続でおこなう、もしくは「24時間データ使い放題」オプションを利用しての対応が必要です。