格安SIMを使えばスマホの料金が節約できる──とはいえ、格安SIMを提供している事業者(MVNO)はとにかく数が多く、一体どれを選べばよいのか迷います。専門的な記事には細かい速度比較や難しい用語がたくさん並んでおり、読むだけでも疲れてしまうでしょう。
そこで今回は、知らなくてもよいことはズバリと切り捨て、初心者でも格安SIMの選び方のポイントがわかるように記事をまとめました。数分で最後まで読めるはずですから、格安SIMを買う前に是非チェックしてみてください。
格安SIMカード 超入門ガイド:「格安SIMとは何か」からメリット・デメリット、種類と選び方、使える端末、注意点まで
これだけは確認しておきたい格安SIMの基本
SIMの買い方は大きく2つに分かれる
格安SIMを買う方法は、(1)端末とのセット購入、(2)SIM単体での購入の大きく2つに分かれます。
大手キャリアと同じように、スマホ本体とSIMのセット購入はわかりやすく、すぐに使えるので安心です。しかし、多くのケースで単に分割払いをしているだけになります。端末は安価なお店で購入し、回線契約も自分好みの事業者を選ぶのがベストです。分割払いを選びたいなら、クレジットカードなどで分割を選ぶとよいでしょう。
また、現在使っているスマホを格安SIMで運用したい人は、回線のみを契約することになります。
対応する回線をチェックする
すでに利用している大手キャリアのスマホを格安SIMに切り替えたいなら、回線契約を解約する必要があるので、その費用を調べておきましょう。基本的には2年縛りになっていて、解約するタイミング(2年契約の満了月の翌2カ月以内)を逃すと約1万円の費用がかかります。また、同じ電話番号をそのまま使えるナンバーポータビリティ(MNP)も可能です。
ドコモ「2年縛り」明けの契約更新月を確認する方法──解約による違約金がかからない月を調べる
現在使っている大手キャリアのスマホ(SIMロック未解除)を利用するなら、対応する事業者を選ぶ必要があります。NTTドコモは、かなり多くの格安SIM事業者が対応しています。またauは、mineo(マイネオ)やIIJmioなどいくつかの事業者しか選べません。ソフトバンクに対応する事業者は、初めてU-mobileが登場しました。今後はauやソフトバンクに対応する事業者が増えてくるでしょう。
mineoなら、auまたはドコモの回線どちらも選択できる
なおSIMフリー(またはSIMロック解除済み)スマートフォンは、原則としてどの回線事業者でも利用可能ですが、種類の多さからNTTドコモの通信網を利用するケースが多くなるでしょう。
SIMのサイズをチェックする
利用するスマホによって、SIMカードのサイズが異なります。基本的には「nanoSIM」と「microSIM」のどちらかになります。最近はnanoSIMが増えています。
左:nanoSIMカード右:microSIMカード
契約の種類は3パターン
格安SIMの費用は、最初の契約料金(事務手数料)が3000円程度に加え、毎月の通信や通話の利用料になります。基本料金はデータ通信の容量で変わってきます。また通常、通話は時間ごとに費用がかかります。つまり、基本料金で通信はできますが、通話代は利用時間に応じて費用がかかるわけです。
普通に電話の音声通話がしたいなら「音声通話SIM」を選びます。また、音声通話をしないけれどLINEを利用したいなら、ショートメッセージサービスの付いた「SMS付きSIM」を選びます(これまでの電話番号も引き継げます)。データ通信のみしか使わないなら「データ通信専用SIM」を選びましょう。
音声通話SIMは利用開始までに少し時間がかかるが、ナンバーポータビリティ(MNP)も可能
メインで使うスマートフォンであれば、「音声通話SIM」を選ぶことをおすすめします。2台目、3台目などで通話はしない場合、一般的にはLINEを利用するか否かでSMS付きかデータ通信専用SIMを選べばよいでしょう。なお、通話やSMS機能が付いていると、容量が同じでも月々の料金が少しずつ高くなります。また、通話にも電話代がかかります。
格安SIMを選ぶ時の4つの重要ポイント
1. 通信速度はあまり気にしなくてよい
格安SIMは、しばしばデータ通信が遅いと言われます。確かに大手キャリアに比べると、通信速度は遅くなるのが一般的です。しかし、普通の使い方なら遅く感じることはあまりありません。昼休みと夜の19~23時頃までは遅く感じることがありますが、これは利用者が多いためで、ある程度の我慢が必要になりますが、大手キャリアの半分以下の料金で利用できるなら納得できるはずです。
昼休みや夜間は混雑でスピードが出ないこともある
専門的な記事などには、格安SIM事業者ごとの通信速度比較が掲載されています。確かに事業者ごとに速度の差はあるのですが、初心者は気にしなくても大丈夫です。というのも、実はこの速度は日々変わっています。ある時まで高速だった事業者が、徐々に遅くなったり、その逆もあります。また、地域によっても速度が変わる可能性もあります。特にユーザーが少ない地方では、高速で利用できるケースも多くなります。
本来は通信速度を気にして買うべきなのですが、はっきり言って正確に比較するのは大変です。また、速度以外の比較ポイントも多く、こちらも重要です。速度に過剰にこだわるよりも、価格や容量、サービスも重視して選ぶことをおすすめします。
2. 通信容量や価格、プランの変更しやすさで選ぶ
格安SIMを選ぶ際には、まず自分が使う通信容量を考えましょう。すでに使っているスマホがあるなら、毎月どのくらいの容量を使っているか調べて参考にしてください。スマホ通信量の確認方法などは、下記の特集でも解説しています。
スマホの「通信速度制限」ガイド──残り通信量の確認や解除方法、回避するための対策など
格安SIMを初めて購入する際には、利用のイメージがつかめないでしょう。また実際には、容量を見ながら節約して使う人がほとんどです。迷っているなら、おすすめは3GBです。3GBならメールやSNS、ウェブブラウジングを使いつつ、ときどき動画を楽しむ程度の一般的な使い方ができます。
その上で容量が足りなくなったら、契約プランを変更するとよいでしょう。ここが一つのポイントで、自分の容量がよくわからない人は毎月の契約が無料で見直せる事業者がおすすめです。たとえばmineoでは、基本データ容量のコース変更が無料でアプリから簡単におこなえます。
容量が3GBのプランだと、データ通信専用SIMで月々900円台の料金が一般的です。2GBだと700~800円台、1GBでは500円台です。容量当たりの価格で見ても、3GBのプランが割安です。5GBになると1200~1500円程度ですが、使い切れないと無駄になります。3GBという容量は、提供している事業者も多いので選択肢も広がります。
3. 付加サービスも注目(カウントフリー・定額通話・繰越/シェア・ポイントなど)
自分の使い方がはっきりしている人は、各事業者が提供している付加サービスに着目すると、一層おトクに利用できるケースがあります。
通信のカウントフリーサービス
特定の利用を定額にするサービスが少しずつ増えています。指定された動画や音楽配信サービスを利用しても、通信の容量が減らない(カウントされない)のです。
たとえばBIGLOBE SIMは、「エンタメフリー・オプション」(音声通話SIM:月額480円、データSIM:月額980円)を付けるとYouTubeやGoogle Play Music、Abema TVなどの通信が定額でおこなえます。
LINEモバイルのコミュニケーションフリープランの概要。出典:LINEモバイル
LINEモバイルでは、LINEアプリの通話やトークなどの使い放題サービスが標準で付いてきます。プランによっては、TwitterやFacebook、Instagramもデータ消費のカウントに含まれません。これらのサービスは「カウントフリー」と呼ばれています。よく使うサービスが含まれているなら、積極的に選びたいところです。
定額通話サービス
格安SIMにおける通話料金は、30秒で20円が一般的です。1カ月に2時間も電話をするなら、大手キャリアのほうが安くなることも少なくありません。長電話は、LINEなどの無料通話アプリでおこなうのがおすすめです。
通話の機会が多い人に注目してほしいのが、電話の定額利用サービスです。多くが5分間などの短時間の通話を定額で利用できます。楽天モバイルでは、850円で5分以内の通話がかけ放題です。OCNモバイルONEは、850円で10分以内の通話がかけ放題になります。
容量の繰り越しやシェア
容量が使い切れずに余った場合には、翌月に繰り越せるサービスがおすすめです。mineoは、余った容量を翌月に繰り越したり、友人に分けたりすることができます。
また、家族で使う時には容量をシェアできるとおトクです。IIJmioは、10GBの容量を家族でシェアできるプランが用意されています。
IIJのファミリーシェアプランの専用ページ。出典:IIJmio
ポイントでおトクに使える
楽天ポイントを活用しているなら、楽天モバイルがおトクです。貯まっているポイントで料金を支払うことができるほか、100円の利用につき1ポイントが貯まり、通話SIMを契約していると買い物のポイントも2倍になります。
またLINEモバイルでは、利用に応じてLINEポイントがもらえます。さらに、SMS付きプランでなくてもLINEのアカウントを作ることができたり、格安SIMでは通常おこなえないLINEのID検索などに必要な年齢確認にも対応したりしています。
4. 管理アプリの使いやすさも大事
格安SIMを使っていると、通信量を節約するクセが付いてくる人が多いようです。利用できるデータ容量は月ごとにリセットされるので、週に何度か残容量をチェックして上限を超えないようにしたいものです。上限を超えると、通信速度制限を受けて極端にスピードが遅くなります。そこで、容量を確認するツールの使い勝手にも注目してください。ここでは、最近人気を集めているLINEモバイル、mineo、楽天モバイルが提供するアプリを紹介します。
LINEモバイル
LINEアプリの中から様々な操作ができるのが特徴。LINEトークに公式アカウントの「LINEモバイル」が友だち追加されるので、そこから残り容量のチェックなどの操作が可能です。トーク画面下に表示されるメニューから[データ残量確認」をタップすると、残量がメッセージで送られてきます。使う機会も多いLINEアプリ内で、手早くチェックできるため便利です。
残量はマイページでも確認可能
LINEのトークに「LINEモバイル」が追加され、トーク内に表示された専用メニューから様々な情報を確認できる。「データ残量確認」をタップすれば、トークメッセージ形式で残量をチェック可能だ
mineo
「mineoスイッチ」というアプリが提供されています。残量が簡単にチェックできるほか、データ容量節約機能のスイッチが用意されており、オフにすると高速通信を切って容量を抑えられる仕組みです。月末になって残量が心許なくなったら、こまめにオフにして凌ぐこともできます。アプリからマイページを呼び出し、各種の情報をチェックしたり容量の追加も可能です。
左:アプリから通信残量を簡単にチェックできる右:スイッチで高速通信をオフに。残量が心許なくなったら利用しよう
「mineo(マイネオ)」の申し込み/新規契約の方法を徹底解説:auプラン+端末購入編
楽天モバイル
「楽天モバイルSIMアプリ」を利用します。回線開通時のAPN設定もここからおこなえるので、初心者にも使いやすいのが嬉しい点。わかりやすいグラフで残量がチェック可能です。前月からの繰り越しの容量などもすぐに確認できるため、最適な契約かどうかも把握できます。高速データ通信のオン・オフもアプリ内から利用可能です。
左:わかりやすいグラフで残容量がチェックできる右:繰り越した容量もすぐにわかるので、貯まってきたら持ち越そう
まとめ
最近の格安SIMは、事業者ごとの価格差や速度の差が少なくなってきています。楽天やLINEなどのよく使うサービスと組み合わせることで、数百円の通信費用の差よりもおトクに使えるケースが出てくるでしょう。頻繁に使うことになる専用アプリは、使い勝手のよさも重要です。
上述のとおり、プランに迷ったらバランスのよい3GBの契約から始めて、消費容量を見極めながら切り替えていくとよいでしょう。必ず契約を見直せる事業者を選ぶのがポイントです。
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構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部