ディズニープラスで配信中の韓国ドラマ『パイン ならず者たち』は、1970年代の韓国を舞台に、海に眠るお宝を巡って繰り広げられるクライム・エンターテイメントです。この物語は1976年に実際に発生し、韓国中を熱狂させた「新安沖の宝船事件」に着想を得ています。史実を背景に、一攫千金を夢見るならず者たちの欲望と騙し合いを描く物語が幕を開けます。
お宝の匂いを嗅ぎつけて集まってきたのは筋金入りの悪党ばかり。仲間であっても信用できない、だまし合いの連続でスリル満点のドラマとなっています。
一攫千金を夢見る凸凹コンビと、集められた怪しい奴ら
物語の中心は、腕っぷしが強くて度胸のある甥のヒドンと、「世界一大事なものは金」と教える策略家の叔父・グァンソクのコンビ。2人は協力して泥棒稼業に精を出していましたが、ある理由で2人は刑務所に入ることになります。そこで出会った陶磁器職人のソン社長から、出所後に新安の海に沈んだ陶磁器を引き揚げれば大金になるという話を持ちかけられ、話に乗ることに。
こうして始まったお宝探しですが、集まったチームのメンバーは怪しい人間ばかり。ソンの部下だというデシクに加え、計画の黒幕であるチョン会長が送り込んできた、全身傷だらけの男・イムも同行することになります。
血気盛んなヒドンと危険な雰囲気を漂わせるイムは早々に対立。さらに、会長の妻・ジョンスクや、謎の美女・ソンジェといった人物たちの思惑も絡み合い、チームは出発前から不穏な空気に包まれます。また、お宝の噂はすでに広まっており、他にも狙っている者たちがいるようです。
欲望が交錯する、個性豊かなキャラクターたち
本作の魅力は、それぞれの思惑を胸に秘めた個性的な登場人物たちです。主人公のヒドンは、喧嘩が強く怖いもの知らずですが、どこか純粋な一面も持っています 。一方、彼の叔父・グァンソクは口八丁で立ち回る策略家です 。この対照的なコンビが物語を牽引します。
チームに加わるイムはかつて沈没事故から生還した過去を持つ男で、その体には無数の傷跡が刻まれています。計画の資金源であるチョン会長は大学設立のために骨董品を欲していて、その裏ではグァンソクに密命を下しています。会長の妻・ジョンスクはかつてイムと深いつながりがあったことが示唆されており、物語の鍵を握る存在となりそうです。
1970年代の韓国の活気ある港町や、貧しいながらもエネルギーに満ちた街並みの再現度も高く、その映像美も見どころの一つと言えるでしょう。
叔父のグァンソクを演じるのは、ディズニープラスで大ヒットを記録した韓国のファンタジーアクションドラマ『ムービング』で愛に溢れる父親を熱演し、感動を誘ったリュ・スンリョン。今回は180度異なる金だけがすべての悪党を演じています。そんな叔父に悪党の道に誘われたヒドンを演じるのは、2020年に兵役に就き、2023年Netflixの『イ・ドゥナ!』に出演して再び注目を集めるヤン・セジョン。その他、東方神起のチョン・ユンホがチンピラのボルグを演じており、新境地を開拓しています。
本作の監督は犯罪映画・ドラマの傑作を放ってきたカン・ユンソン。マ・ドンソク主演の大ヒット映画シリーズ『犯罪都市』や1970年代を舞台に貧しい境遇からカジノ王にの仕上がった男を描くドラマ『カジノ』など、高い評価を得てきたエンターテインメントを作り上げてきた監督なので、本作の品質は保証付きと言えます。
腕っぷしの強い男、策略家の男、地獄から生還した男。それぞれの野望と過去が絡み合い、お宝を巡る計画は予測不可能な方向へと進んでいきます。果たして、この危険な宝探しを成功させ、大金を手にするのは誰なのか。そして、登場人物たちが抱える秘密が明かされるとき、彼らの関係はどう変化するのか。裏切りと欲望が渦巻く展開から目が離せません。
『パイン ならず者たち』を見る(ディズニープラスで配信中)
国民がこぞって「幸せに暮らそう!」と叫び、各々が生きるために奮闘した1977年の韓国。元王朝の貿易船が全羅南道(チョルラナムド)新安(シナン)沖に沈没しているという噂が広がると、グァンソクとヒドンは人生一発逆転を夢見て海底に隠された宝物を探しに新安へと向かう。
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