iPhoneの画面をテレビに映す(出力する)方法まとめ【有線ケーブル/無線で接続】
動画や写真などiPhoneで見ているコンテンツを、自宅にあるテレビに接続して大画面で楽しみたいというシーンは多いはず。iPhoneやiPadの画面をテレビに映すための方法には大きく、有線ケーブルで接続する方法と、無線で接続する方法の2つがあります。
今回は、iPhoneの画面をHDMIケーブルで接続してテレビに出力する方法(有線)のほか、Apple TVやChromecast、Fire TV Stickを使って無線で出力する方法を紹介します。
スマホをテレビに接続して画面を映す3つの出力方法【有線ケーブル/ミラーリング/ミラキャスト】
HDMIケーブル経由でテレビ出力する方法
テレビにあるHDMI端子にHDMIケーブルを接続して、iPhoneの画面を出力します。必要なものは、HDMI変換アダプタとHDMIケーブルです。変換アダプタとHDMIケーブルがセットになっている製品もありますが、ここではAppleが販売しているアダプタを利用する方法を紹介します。
必要な機器とテレビ接続・出力の手順
HDMIケーブルは新たに購入せずとも、BDレコーダーや家庭用ゲーム機をテレビと接続するのに使っているものなどを流用してもよいでしょう。新たに購入する必要があるなら、コスパに優れ、ユーザー評価も高い下記のHDMIケーブル(ホーリック製)がおすすめ。カラーバリエーションも豊富です。
ホーリック ハイスピードHDMI標準ケーブル タイプA メタルモールド HDM15-891GD
HDMI変換アダプタは、iPhoneやiPadが搭載している端子に合ったものを用意します。
Appleからは、iPhone 5以降やLightningコネクタを搭載したiPadシリーズ向けの「Lightning - Digital AVアダプタ」と、USB-C端子を搭載したiPad Pro向けの「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」が発売されています。
Apple Lightning - Digital AVアダプタ MD826AM/A:Ligntningコネクタが用意されており、端末を充電しながら出力することもできる。iPhone 5以降やLightningコネクタを搭載したiPadシリーズが対応している
Apple USB-C Digital AV Multiportアダプタ:iPad Pro(11インチ)とiPad Pro(12.9インチ・第3世代)、およびMacに対応している
変換アダプタの使い方は簡単です。
変換アダプタをiPhoneと接続し、HDMI端子の部分にHDMIケーブルを接続します。
続いて、HDMIケーブルのもう一方の端をテレビのHDMI端子に接続すればOKです。
テレビの電源を入れて、リモコン等にある「入力切替」ボタンからHDMI入力に入力を切り替えれば、iPhoneの画面がそのままテレビに表示されます。あとは、iPhoneを操作して目的のコンテンツを表示します。音声もHDMIケーブルを通してテレビから出力されます。
HDMI出力中は、基本的にiPhoneの画面がそのまま表示されます。動画を再生すると映像だけがテレビに出力され、iPhoneの画面には再生コントローラが表示されます。また一部のゲームによっては、プレイ画面をテレビに表示して端末側には操作パネルやほかの情報を表示するものもあります。
メリットとデメリット
HDMI出力のメリットは、何といってもその手軽さです。ケーブルを接続するだけでiPhoneの画面を出力できるため、出先でもセットアップが簡単です。しかも、利用するアプリを問いません。映像を楽しんだり、ゲームをプレイしたりと使い方は自由というわけです(一部の有料動画サービスは表示できないことがあります)。
一方、デメリットは有線でつなぐことが必要な点です。テレビと視聴位置が離れている時は、十分な長さのHDMIケーブルを用意しなくてはなりません。また、iPhoneの画面を回転させると、それに応じてテレビ側の画面も回転してしまいます。映画を観たりゲームをプレイしたりする時は、画面が回転しないように固定しておくのがよいでしょう。
画質に関して注意したい点もあります。Lightning - Digital AVアダプタの画質は、最大1080pのHD画質になります。この1080pも、内部でダウンスケーリングとアップスケーリングをおこなうことで実現する見かけ上の1080pであり、1080pのコンテンツがそのまま表示されるわけではありません。そのため、ブロックノイズやわずかな遅延が生じることがあり、シビアなタイミングが要求されるゲームなどには不向きです。
また、USB-C Digital AV Multiportアダプタは、モデルによって映像の出力や対応しているHDMIが異なります。旧モデルに当たる「モデル A1621」はHDMI 2.0に非対応で、映像の出力は最大で4K、30Hzです。一方で、新モデルである「モデル A2119」はHDMI 2.0対応で、MacBook ProやiMac、iPad Proのみ4K、60Hzの映像出力に対応しています。ただし、対応デバイスは以下の5つに限られます。
- 16インチのMacBook Pro(2019年に発売されたモデル)
- 15インチのMacBook Pro(2017年以降に発売されたモデル)
- Retina搭載のiMac(2017年以降に発売されたモデル)
- iMac Pro
- iPad Pro
上記以外のデバイスやテレビで4K、60Hzの映像出力をしたい時は、HDMI 2.0に対応したサードパーティの製品を選ぶのがよいでしょう(Appleストアでも販売されている「Belkin USB-C to HDMI Adapter」などが、この条件に当てはまります)。
Apple TVを利用してテレビ出力する方法
iPhoneとテレビを無線で接続できるのが「Apple TV(アップルティービー)」です。テレビのHDMI端子に接続するセットトップボックスで、iTunes Storeで映画をレンタル/購入したり、NetflixやHuluなどの動画配信サービスを利用して映像作品を楽しんだりできます。
必要な機器とテレビ接続・出力の手順
2020年8月現在、発売されているのは第4世代の「Apple TV HD」と第5世代の「Apple TV 4K」です。tvOSを搭載し、App Storeからゲームやアプリをインストールできるのが特徴です。Apple Musicや、Appleオリジナルの動画配信サービスである「Apple TV+」にもネイティブで対応し、iPhoneがなくても様々なコンテンツを単体で楽しめます。
Apple TVを利用するには、Wi-FiまたはLANケーブルを使ってインターネットへ接続します。
セットアップでは、Apple TVとテレビをHDMIケーブル(別売)でつないで、電源ケーブルをコンセントに接続します。テレビの入力をHDMIに切り替えるとセットアップ画面が表示されるので、付属のリモコンで必要な操作をおこないます。
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iPhoneの画面をテレビに出力するには「画面ミラーリング」を使います。コントロールセンターを表示して、[画面ミラーリング]→[Apple TV]をタップすれば、ミラーリングがオンになり、iOSの画面がそのままテレビに出力されます。
あとはアプリを操作して、iPhoneに保存されている音楽や写真、ビデオをテレビに出力します。
ビデオの再生画面などから共有オプションを表示して[AirPlay]を選択しても構いません。
画面を回転させると、動きに応じてテレビ上の画面も回転します。動画を出力した場合は、操作パネルのみ表示されます。
メリットとデメリット
Apple TVのメリットは、アプリを問わずに使える点です。写真でもビデオでも、ブラウザでも、そして「TV」アプリでも使うことができます。
デメリットは有線よりも動作が不安定になりがちな点です。ネットワーク環境によっては画質が落ちたり、遅延が発生したりする場合があります。また、iPhoneの画面をテレビに出力したいという用途だけで考えると、Apple TVは完全にオーバースペックと言えるでしょう。
Apple TV 4Kは1万9800円(32GB・税別)からと、高額なのも大きなデメリットです。AirPlayだけあればいいという人は、継続販売されている第4世代のApple TV HDがおすすめです。こちらは価格が1万5800円(32GB・税別)とApple TV 4Kより4000円ほど安く入手できます。
Chromecastでテレビにキャストする方法
Chromecast
Apple TV以外の製品で、iPhoneとテレビを無線で接続する選択肢になり得るのが「Chromecast(クロームキャスト)」と「Fire TV Stick(後述)」です。
Chromecastは、Googleが販売しているHDMIドングルです。テレビのHDMI端子に接続し、Wi-Fi経由でスマホやタブレットからコンテンツを再生(キャスト)できます。
といっても、HDMI出力やAirPlayのように端末のコンテンツをテレビに直接出力するわけではありません。またiPhoneから利用する場合、ミラーリング表示はできません。Chromecastができるのは、YouTubeなど対応アプリのコンテンツをスマホから操作してテレビに表示するということです。
メリットとデメリット
Chromecastのメリットは低価格で入手できる点です。給電に必要なUSBケーブルや電源アダプタなどがセットになって5072円(税込)で購入できます。必要なのはWi-Fi環境のみ。Apple TV HDと比べて、非常に安価です。
またiPhoneやiPadだけでなく、Android端末、Windows、Macといった幅広い機種で利用可能です。特にAndroid端末では、ミラーリング表示も実現しています。PCでもChromeブラウザの画面を出力する機能が用意されており、これから登場する「Stadia」と組み合わせて、大画面のテレビでゲームをプレイして楽しめるようになる?という期待もあります。このように、iPhone以外でも活用できるのはChromecastの大きな魅力です。
デメリットは、出力サイズが最大1080p(60fps)であることです。4K Ultra HDやHDRコンテンツを楽しみたい人向けには、「Chromecast Ultra」という選択肢もありますが、こちらは9900円(税込)とやや高めです。対応アプリをテレビに出力する用途では、「Fire TV Stick 4K」(6980円)といったセットトップボックス製品が登場しており、現状ではこちらを選ぶほうがコスト的にも満足できるはずです。
Chromecast Ultra
Image:Google
Chromecast対応アプリの一例
また注意したいのは、使いたいアプリが対応しているかどうかです。Chromecastは対応アプリでしか利用できません。iTunes Storeでレンタル/購入した映画や、Apple Musicのミュージックビデオなど、アップルのコンテンツを楽しみたいならChromecastは不向きです。
映像関連では「YouTube」を筆頭に「Hulu(フールー)」「dTV(ディーティービー)」「Netflix(ネットフリックス)」「ビデオパス」「U-NEXT」といったアプリに対応しています。自分が利用しているサービスが対応していれば、アプリの少なさは気にならないかもしれません。
Chromecastのセットアップ
Chromecastのセットアップは、本体と端末の2カ所でおこないます。まずは本体をテレビのHDMI端子に接続し、次に電源用のACアダプタを接続します。テレビやBDレコーダーにUSB端子があるなら、アダプタを外してUSB経由で給電することも可能です。
続いて、Chromecastを利用する端末から専用アプリ「Google Home」で設定をおこないます。Chromecastの仕組みやセットアップの詳しい手順については、下記の特集を参照してください。

Google Homeアプリの使い方
アプリを起動するとホーム画面が表示されます。ホーム画面では、Google Homeアプリに登録したデバイスが確認できます。
ホーム画面での主な操作は各種設定になります。動画などのキャストは各アプリからおこないます。
対応アプリからキャストする方法
アプリ上でコンテンツの再生を開始すると、画面にキャストアイコンが表示されるので、これをタップして出力を「Google Cast」に切り替えます。Chromecastがインターネットからコンテンツを受信して再生を開始します。
ここでは例として、「YouTube」アプリを利用して動画を再生しています。
画面上のキャストアイコンをタップして、Google Castに出力を切り替えます。
画面が切り替わり、操作パネルが表示されます。iOSのAirPlayに似ていますが、Chromecastがインターネットへ接続して自分でコンテンツを取得してくるという点が、HDMI出力やAirPlayを利用する方法との大きな違いです。
そのため、アプリを終了しても映像は流れ続けます。ただiPhoneから、テレビに表示される映像を早送りしたり巻き戻したりといった操作はできます。
再生を終了する時は再びキャストアイコンをタップし、[接続を解除]をタップします。
iPhone内の動画や写真もキャストできる
「Streamer for Chromecast」などのアプリを利用してキャストすることもできます。標準の機能ではないため動作保証はありませんが、iPhoneに保存されているコンテンツ(写真など)をキャストしたり、iPhoneの画面をミラーリング表示したりできます。非対応のアプリをキャストしたい時に試してみるとよいでしょう。
Streamer for Chromecast
Fire TV Stickでテレビにミラーリングする
Fire TV Stickのミラーリング機能を使うことで、スマホ画面をそのままテレビに映すことができます。ただし、iPhoneやiPadをミラーリングする機能は標準搭載されていないため、Fire TV Stickで「AirReceiver(有料)」などのAirPlay対応アプリを利用する必要があります。
AirReceiverアプリを購入してインストールが済んだら、アプリを起動します。
あとは「AirPlay」を選択すれば、Fire TV側の設定は完了です。
iPhone側では、コントロールセンターから「画面ミラーリング」を開き、その後Fire TV Stickの機器名が表示されたらタップします。
iPhoneの画面がミラーリングされて、テレビに映し出されます。詳しい設定手順は下記記事を参照してください。

検証端末:iPhone X(iOS 13.6)