iPad OSが登場し、外付けストレージを使ったファイル管理に対応したとされています。ところが、実際に使ってみると認識できないデバイスも少なくありません。そこで、どんな製品が使えるのか試してみました。
今回は、USB-C端子を搭載しストレージを接続しやすいiPad Proを中心に解説しますが、Lightning端子搭載モデルについても広範に言及します。これから購入するのにおすすめのデバイスも紹介します。
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検証結果は、本記事で触れている製品の組み合わせのものです。他製品を組み合わせた場合や、ソフトウェアのアップデートなどにより、使えたり使えなかったりするケースも出てくる可能性があります。ご注意ください。
iPadで使える外付けストレージは大きく2種類
iPadで使えるストレージは、大きく分けて「Lightning接続」タイプと「USB-C接続」タイプの2種類あります。Lightningで使える従来型のストレージは、専用アプリを使って利用するのが一般的でした。
また、Lightning接続のアダプターを利用すれば、SDカードの写真も読むことができました。当初は、iPadでファイルを管理することができず、ストレージメーカーが独自のツールを提供してファイルをやりとりしていたのです。
新たにiPad OSが登場し、さまざまな外付けストレージが利用できるようになったとアナウンスされています。そこで使いたくなるのは、iPad Proが採用するUSB-C端子によるストレージの接続です。
USB-C端子で接続するアダプターも手ごろな価格で手に入るので、さまざまなストレージが利用できれば言うことなしです。果たして、どんなストレージが利用できるのでしょうか。
iPad OSでは、さまざまな外付けストレージが利用できるとアナウンスされている
サンディスクのポータブルSSDは、コネクター部分を取り外すとUSB-C端子でも利用できる。「サンディスク エクストリーム ポータブルSSD」は容量が250GB〜2TBまで
こちらはLightning端子で接続できる「サンディスク iXpand Compact フラッシュドライブ」で、容量は32GB〜128GBまで
Lightning接続の製品は従来どおりの使い方がおすすめ
サンディスクにコメントを求めたところ、Lightning接続の製品は従来同様に専用アプリでの利用をサポートするとのことです。つまり、iPad Pro以外のiPadではこれまで同様、専用アプリをインストールして外付けストレージを使うことになります。
Lightning接続の製品をテストしてみたところ、iPad OSのファイル管理アプリでは表示できず、専用アプリのインストールを促されました。ファイルのやりとりも、アプリ上でおこなうことになります。これは、iPad OS以前の状況と変わりません。
「サンディスク iXpand Compact フラッシュドライブ」は専用アプリからファイルをやりとりする
古くから所有してるiXpand フラッシュドライブも問題なくiPadで利用できたが、やはり専用ソフトを使う
iPadに対応する製品は簡単に接続できる
USB-C端子を搭載したiPad Proでさまざまなストレージを利用するのが、iPad OSの現実的な新機能と言えるでしょう。ストレージを手に入れる場合には、メーカーがiPad対応をうたっている製品を選ぶべきです。
外付けのハードディスクやSSDが利用できるかどうかは、それぞれの製品メーカーの判断に頼るしかありません。アップルは、さまざまなデバイスが接続できるとアナウンスしていますが、具体的な製品名を挙げていません。
もちろん、Apple Storeで販売されているものなら利用できるでしょう。しかし記事執筆時点では、iPadに対応しているストレージはまだないようです。今回iPad OSで使えた「サンディスク エクストリーム ポータブルSSD」も、Macへの互換性しかアナウンスされていません。
メーカーがiPadへの対応をうたっている製品なら、iPad Proに接続すれば標準の「ファイル」アプリで利用できます。パソコンと同じようにファイルを閲覧して、コピーや移動ができます。たとえば、外付けストレージに保存してあるファイルをOneDriveにコピーするといったことも可能です。
対応製品をiPad Proに接続すれば「ファイル」で簡単に扱える
iPad ProにUSB-Cアダプターでさまざまなストレージを接続してみた結果
iPad ProにUSB-C接続のアダプターをつけて、さまざまなストレージを接続してみました。サンディスクによると、使えるかどうかは主に消費電力量によるとのことです。
以前から利用できていたSDカードは問題なく使えました。また、USBメモリも使えています。USBメモリには、Excelなどのファイルを入れて利用することも可能です。以前のように、写真のやりとりばかりをするのではなく、仕事のファイルもフル活用できます。
また、Lightning端子を採用しているiPadでは、専用アプリで使うストレージもUSB-C端子で接続すればそのまま利用できました。
ただし、外付けのハードディスクは利用できませんでした。電源接続が不要なポータブルタイプの製品を試しましたが、ドライブは回るもののファイルを開けません。また、電源に接続するタイプの大容量の外付けハードディスクも数種類試しましたが、やはり利用できませんでした。
SDカードは問題なく利用できる
USBメモリも使えた
Lightning端子で利用するストレージも、USB端子で接続すれば普通に「ファイル」から扱える
こちらも同様だ
Lightning端子のiPadにアダプターでさまざまなストレージを接続してみた結果
Lightning端子を採用するiPad miniに、アップル純正の「USBカメラアダプタ」(4500円)を利用して、いくつかのストレージを接続してみました。
結果としては、単体接続のテストで使えたのは「サンディスク iXpand Compact フラッシュドライブ」だけでした。手元に用意したUSBメモリや、USB-C接続では利用できた「サンディスク エクストリーム ポータブルSSD」も使えませんでした。
ただし、USBカメラアダプタにLightningケーブルも同時に接続し、電源を供給すればどちらも利用可能です。
USBカメラアダプタを取り付け、USBメモリーを接続しても利用できず、電力不足のメッセージが表示された。ただし、Lightningケーブルをつないで給電すれば利用できた
ポータブルSSDも同様で、Lightningケーブルの接続が必要だ
唯一、このUSBメモリだけは利用可能だった
まとめ
iPad OSの登場によって外付けのストレージが使いやすくなっています。とはいえ、実際に使える製品はさほど多くありません。これから製品を探そうという人は、必ず対応をチェックしてからの入手をおすすめします。
また、Lightning端子を搭載するiPadでは、従来同様に専用アプリで使う外付けストレージが安心です。ただし、iPad OSらしい使い方はできず、専用アプリ内でのみファイルのやりとりをすることになります。それでは不満だという場合、USBカメラアダプタを手に入れて、ストレージをつないでみるのが正解でしょう。ただし、こちらも対応モデルが多くないので、注意して選んでください。
今回のテストで利用した「サンディスク iXpand Compact フラッシュドライブ」は、メーカーもiPad対応をアナウンスしているので安心して利用できます。ただし、Lightning端子採用のiPadでは、アダプターや電源が必要になります。
サンディスク iXpand® Compact フラッシュ ドライブ
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部