今回は、2025年8月28日に発売されたGoogle製のスマートフォン「Google Pixel 10」シリーズをレビューします(以下、Pixel 10と表記)。
Pixelシリーズは、Androidスマートフォンの中でも非常に人気があります。今回は折り畳みの「Pixel 10 Pro Fold」以外の「Pixel 10」「Pixel 10 Pro」「Pixel 10 Pro XL」を比較しながら見ていきます。
デザインはほとんど変わっていない

今回レビューする3モデル(左から:Pixel 10 Pro XL、Pixel 10 Pro、Pixel 10)
デザインは、Pixel 9シリーズとほとんど変わっていません。Pixel 10とPixel 10 Proは前モデルより微妙に厚くなっていますが、Pixel 10 Pro XLはサイズも同様です。ただし、Pro XLモデルの比較では重量が若干増しています。

Pixel 10(左)はガラスの背面につや消しのフレーム。Pro(中)Pro XL(右)はメッキ調のフレームにつや消しの背面だ
Pixel 10は、ガラスの透明感を活かした背面仕上げで、ボディフレームはつや消しです。12万円台のスマホと考えても十分に高級感があります。対してPixel 10 Proシリーズは、曇りガラスのようなつや消し仕上げの背面に、メッキ調のフレームを採用しています。さすがにPixel 10 Proシリーズの高級感は素晴らしく、ライバルのモデルと比べても秀でた外観です。
ちなみに、手元にあるPixel 9 Pro XLと比較してみましたが、仕上げのコンセプトも実は変わっていません。印象としては、色が変わった程度です。ただし、Pixel 9 Pro XL用のハードケースを装着しようとしたところ、Pixel 10 Proには装着できませんでした。サイズは同じですが、カメラ部分の配置などが微妙に変わっていると思われます。なお、シリコン製の柔らかいケースは装着できました。
Pixel 10 | Pixel 10 Pro | Pixel 10 Pro XL | |
---|---|---|---|
本体サイズ | 152.8×72.0×8.6mm | 152.8×72.0×8.6mm | 162.8×76.6×8.5mm |
画面サイズ | 6.3 インチ | 6.3 インチ | 6.8 インチ |
重量 | 202g | 207g | 232g |

Pixel 10でも重量は200gを超える

Pixel 10 Proは、さらに微妙に重い

Pixel 10 Pro XLはヘビー級。ちなみにPixel 9 Pro XLは222gだ
価格は前モデルと一部据え置き
気になる価格は、以下のようになっています(Googleストアでの価格)。前モデルになるPixel 9シリーズとも見比べてみましょう。
Pixel 10 | Pixel 10 Pro | Pixel 10 Pro XL |
---|---|---|
12万8900円〜 | 17万4900円〜 | 19万2900円〜 |
Pixel 9 | Pixel 9 Pro | Pixel 9 Pro XL |
---|---|---|
12万8900円〜 | 15万9900円〜 | 17万7900円〜 |
Pixel 10は、なんと価格据え置きです。Proシリーズは2万5000円高くなっています。これにより、Pixel 10とPixel 10 Proシリーズの価格差がかなり大きくなりました。
ディスプレイはどれも非常に明るくて美しい

Pixel 10 Pro(左)はPixel 10(右)と比べると画面が明るく額縁が細い

左がPixel 9 Pro XLで右がPixel 10 Pro XL。明るさが違う
Pixel 10シリーズは明るくて美しいディスプレイを採用しています。日差しの強い夏の屋外で撮影テストを実施しましたが、画面がとても見やすかったのが印象的でした。
Pixel 10(6.3インチ)は、1080×2424ピクセルで最大2000ニト、ピーク時3000ニトです。これでも十分に明るく、前モデルよりも輝度は上がっています。
Pixel 10 Pro(6.3インチ)シリーズはさらに明るく、1280×2856ピクセルで最大2200ニト、ピーク時3300ニトになります。また、Pixel 10 Pro XL(6.8インチ)は1344×2992ピクセルで明るさは同じです。
解像度と明るさの違い、額縁の太さがPixel 10のコストダウンポイントの一つですが、Pixel 10でも十分に妥協できるでしょう。
性能は向上しているがGPUに弱点が

Pixel 9 Pro XL(左)とPixel 10 Pro XL(右)でベンチマークを比較。CPU性能は大きく向上している

ところが、GPUのベンチマークは大きく劣る
Pixel 10シリーズのチップは、Tensor G5です。前モデルより1世代アップデートされて、性能もかなり向上しています。ライバルのSnapdragon 8 Eliteなどには及びませんが、実際に使っていてもテキパキと快適に動作します。
ただし、ベンチマークを計測してみるとGPU(Graphics Processing Unit:画像処理装置)のスコアがとても低く、Tensor G4にも劣っています。これは、ドライバーが最適化されていないからだという説もありますが、少なくとも現時点のベンチマークはよろしくありません。ゲームの利用を中心に考えている人は、要チェックです。
なお、ベンチマークは環境によってバラつくので、あくまでも参考値としてご覧ください。いずれにせよ、Galaxy S25 UltraなどのSnapdragon製ハイエンドチップを搭載したモデルに比べると、性能面では劣っています。
駆動時間が延びてワイヤレス充電が充実

バッテリーが本体に付くようになった
Pixel 10シリーズはバッテリーの容量が増加しています。
Pixel 9は容量が4700mAhで24時間以上の駆動でしたが、Pixel 10では4870mAhで30時間以上の駆動と6時間ほど駆動時間が長くなりました。ほかのモデルも同様にバッテリー容量が少し増え、バッテリー駆動時間が長くなっているのが嬉しいポイントです。
また、最新のワイヤレス充電規格「Qi2」に対応し、25Wのワイヤレス充電が利用できます。本体に磁石を内蔵しており、背面に直接バッテリーなどが付くようになったのも嬉しいポイントです。
AI機能が進化し、ますます便利に
Pixel 10シリーズは、さらにAIに強いモデルとなっています。多くのAI機能の中から、一部を紹介していきましょう。なお、カメラのAI機能も紹介しますが、カメラそのものに関しては後述します。
カメラコーチ機能

カメラコーチ機能で構図を提案してくれる
カメラコーチ機能は、撮影時にボタンをタップすると「こんなふうに撮ったらどうでしょう」という提案をしてくれます。自分では気付かなかった構図を被写体に合わせて提案してくれるのが素晴らしいところ。ただし、少し時間がかかるのでペットや子どもなどの動く被写体を撮るのには向きません。
100倍ズーム機能

100倍ズーム機能も、AIによる画質向上処理が凄まじい威力を発揮します。処理前の写真と比べると雲泥の差です。生成AIによって画像を多少“作ってしまう”わけですが、ぼんやりした100倍ズームよりもはるかに優れています。

AIによる処理の前はこんな画像だ
Gemini Live


Gemini Liveで見ている情報をAIに問いかけられる
Gemini Liveでは、画面上に表示されている情報を元に、AIと音声で相談ができます。Webページでもカメラのプレビューでもかまいません。「このサイトの内容は何ですか?」「この商品はどこのものですか?」などと聞けば答えてくれます。使い慣れると非常に役立つはずです。
Notebook LM

Notebook LMでスクリーンショットしたWebページの内容を要約できる
Notebook LMも組み込まれました。スクリーンショットからURLを送り込んで、Webページの内容を要約したり、音声による評価を聞くこともできます。こちらも「カメラコーチ機能」と同様に少し時間がかかりますが、情報量が多いときには真価を発揮します。
カメラは美しく撮影可能
今回は、Pixel 10とPixel 10 Pro XLで写真を撮影していきます。Pixel 10とPixel 10 Proシリーズの大きな違いはカメラにもあります。Pixel 10は、標準48MP、超広角13MP、5倍望遠10.8MPというスペックである一方、Pixel 10 Proシリーズは、標準50MP、超広角、5倍望遠48MPと素晴らしいスペックです。
なお、Pixel 10 Pro XLのカメラのスペックは、Pixel 9 Pro XLとほぼ変わりません。大きな違いはハードウェアではなく、100倍ズームなどのAI処理です。この点に魅力を感じるかどうかが評価の分かれ目となります。
Pixel 10は広角、超広角ともにPixel 9よりスペックが落ちています。代わりに、1200万画素の望遠を搭載しています。こちらの判断は微妙で、超広角をよく撮るならPixel 9のほうが満足度が高いでしょう。
超広角

どちらもきれいだが、少し拡大するとPixel 10 Pro XLのほうがくっきりしている
標準

標準カメラの画質はどちらも大満足だ
2倍望遠

拡大すると微妙に違うが、そこまで差を感じない
5倍望遠

拡大するとPixel 10 Pro XLのほうが立体感があるが、そんなに大きな差ではない

Pixel 10 Pro XLは、カメラのメニューで10倍望遠が撮れる
ポートレート

ポートレートはどちらもきれいに撮れた
マクロ比較

どちらもきれいに撮れているが、背景のボケかたがずいぶん違う
まとめ:ゲームに向かない点を除けば、AI機能やカメラ性能など文句なし
Pixel 10シリーズは、今シーズンも人気のスマホとして話題にあがるでしょう。特に、AI機能では大きく秀でています。とはいえ、現時点ではTensor G5がゲームに向かないという弱点が露呈しています。今後、この点がどう改善されるかがポイントになるでしょう。
カメラは非常に美しく、Pixel 10 Proシリーズの100倍ズームは驚異的ですし、他にもAIによる画質向上処理は素晴らしい限りです。新世代のスマホを手に入れたいならおすすめです。特に、下取りやストアのポイントがある人はお得に購入できます。筆者も、Pixel 9 Pro XLからの買い替えで、実質5万円台でPixel 10 Pro XLを入手することができました。
YouTubeでも、Pixel 10シリーズを実機を触りながら詳しくレビューしています。こちらも合わせて参照してください。