店頭でその都度手続きをしなくても、パソコンやスマホから予約するだけで簡単に車が借りられる「カーシェアリング」。買い物や送迎など、10分〜15分単位のちょっとした用事でも自家用車感覚で使えるのが魅力のサービスです。
本記事では、カーシェアリングとはどんなサービスなのか、メリット・デメリットにわけて初心者向けに解説。具体的におすすめ6社を取り上げ、特徴を紹介しながら比較しています。気になる実際の利用手順もチェックしてみてください。
カーシェアリングとは?
タイムズカーシェアの予約アプリ
カーシェアリングとは、自動車メーカーやレンタカー会社などが保有する自動車を、会員同士が好きなタイミングでシェア(共有)するサービスです。車は「ステーション」と呼ばれる指定の駐車場に停めてあり、ユーザーは入会後、パソコンやスマホなどから予約して利用します。
営業時間を問わず24時間好きな時間に利用でき、必要な時間だけ車を使うカーシェアリングは、自動車を所有したりレンタカーを借りたりするよりも経済的な負担を軽減できるサービスです。
今回紹介するカーシェアリングの概要やメリット・デメリットは、「TOYOTA SHARE」「オリックスカーシェア」「ニッポンレンタカーカーシェアリング」「タイムズカーシェア」「careco」「dカーシェア」の6社が提供するサービスをベースに解説しています。
カーシェアリングのメリット
概ねレンタカーよりも割安で、面倒な手続きが不要なカーシェアリング。具体的なメリットは次の3点に集約されます。
細かい手続き不要でスマホから簡単に車が借りられる
左:入力項目が多い、レンタカーのウェブ予約(ニッポンレンタカーの例)右:場所と時間等を指定するだけのカーシェアリング専用アプリ(タイムズカーシェアの例)
レンタカーを借りる場合、従来は店頭に足を運んで申し込み用紙に記入したり、オプションの加入要否を確認するなど、その都度面倒な手続きが必要でした。最近では電話やウェブ予約も可能になり、手続きの工程は簡略化されてきましたが、カーシェアリングに比べると未だ煩雑です。
カーシェアリングの利用手順は後述しますが、基本的にスマホから予約をして、利用可能な状態であれば、車が停めてある場所に行ってすぐに乗車できます。
必要な分だけ利用できる
左:オリックスレンタカーの料金一例右:オリックスカーシェアの料金一例
レンタカーの利用料金は、最短でも6時間まで、以降3時間程度で区切られていることが多いため、短時間の用事には不向きな傾向があります。
カーシェアリングは、実際の利用時間に対して「ミニマムチャージ」(一定時間以内の利用に対してかかる最低限の料金)が発生するケースもありますが、概ね15分200円程度から利用可能。買い物や送迎といった日常での普段使いに便利です。
多くのサービスが、予約状況に応じて返却予定時間前ならアプリ上で簡単に延長手続きができます。
返却時にガソリンを満タンにする必要がない
左:レンタカーの場合(オリックスレンタカーの例)右:カーシェアリングの場合(タイムズカーシェアの場合)
レンタカーの場合、実費でガソリンを満タンに給油した状態で返却しなければなりませんが、カーシェアリングにその必要はありません。
社内に設置してある専用のカードで、ガソリンが残り少なくなった時点で適宜給油します。ガソリン代を負担しなくてよいだけでなく、サービスによっては給油をおこなうと料金割引が受けられる場合もあります。
カーシェアリングのデメリット
カーシェアリングは、レンタカーやマイカーよりも気軽に利用できる半面、事前に確認しておきたい注意点もあります。
いつも同じ場所で同じ車種が利用できるとは限らない
ユーザー同士で車をシェアするサービスのため、ステーションの稼働状況により、いつも同じ場所から乗車できるとは限りません。また、ステーションに配備される車種から選択するため、お目当ての車種に乗車できないこともあります。多くの場合、色の指定などもできません。
精算にはクレジットカードが必須
レンタカーでは店頭で現金精算が可能な場合もありますが、カーシェアリングサービスの多くは決済方法をクレジットカードに限定しています。
喫煙車やペットが同乗可能な車種がない
左:オリックスレンタカーではペット同乗サービスのほか、喫煙車の選択もできる右:オリックスカーシェアでは、車内禁煙・ペット禁止
カーシェアリングは、レンタカーのように喫煙車を選択できるサービスやペットの同乗サービスがない場合が多く、ユーザーによっては利用条件が合わない可能性もあります。
月会費が発生する
オリックスカーシェアの料金体系の一例。月々の支払い額=月額基本料+時間料金+距離料金
レンタカーと異なり、1000円前後の月額基本料が発生するカーシェアリングサービスが多く、場合によってはまったく車を利用しない月でも経費がかかります。
ただし、サービスによっては月会費が利用料金に充当できたり、時間あたりの利用料金が割高になる代わりに、利用しない月は会費が無料になったりするプランも用意されています。年に数回しか使わなくても会員である状態を維持したい人には便利です。
カーシェアリングサービス おすすめ6社を比較
おもなカーシェアリングサービス6社の料金体系やエリア、車種などを比較した上で、各社おすすめのポイントを解説していきます。
サービス | エリア | 車種 | 月額基本料 | 利用料金 | 特長 |
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TOYOTA SHARE | 37都道府県 183カ所 |
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0円 (無料キャンペーン中) |
通常料金:15分150円〜 パック料金:6時間3080円〜 |
「NOC無料プラン」(330円税込/回)への加入で、事故・車内装備品の紛失・緊急対応時などの請求が無料に |
オリックスカーシェア | 29都道府県 約2000カ所 |
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840円 (時間料金に充当可能) |
通常料金:15分210円〜 パック料金:6時間3700円〜 |
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ニッポンレンタカーカーシェアリング | 45都道府県 358カ所 |
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980円 (2020年6月末日まで無料) |
通常料金:15分209円〜 パック料金:6時間3850円〜 |
レンタカーポイントやANAのマイルがたまる |
タイムズカーシェア | 47都道府県 約1万3000カ所 |
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880円 | 通常料金:15分220円〜 パック料金:6時間4290円〜 |
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careco | 12都府県 約2300カ所 |
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980円 | 通常料金:10分140円〜 パック料金:6時間4080円〜 |
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dカーシェア | 47都道府県 約4500カ所 |
オリックスカーシェア、careco、cariteco、TOYOTA SHAREで用意されている車種に準じる | 0円 | 利用するカーシェアサービスにより異なる | dポイントが貯まる |
低料金で試したいなら「TOYOTA SHARE」
月会費無料キャンペーンを展開中
トヨタが2019年10月28日に運営開始したばかりのサービスです。基本料金は最も安価なコンパクトクラスで15分150円から。今回紹介する6社中、最安値(carecoの「平日プラン」を除く)で利用できます。
現在は月会費の無料キャンペーンを開催中(キャンペーン終了時期は未定)。コンパクトカーやSUV、ミニバンなど、豊富な車種の中から選べるのもうれしいポイントです。
ただし、利用可能なスポットは全国128箇所(2020年1月9日時点)と、他のカーシェアリングサービスに比べてステーション数が少ないのが難点です。
ステーション数の多さが魅力「タイムズカーシェア」
タイムズカーシェアは、駐車場やレンタカーサービスでお馴染みのタイムズが運営するサービス。15分220円から利用可能です。利用拠点の多さが最大の特長で、タイムズの駐車場を中心にステーション数は全国1万600カ所以上。自宅の周辺でも見つけやすいでしょう。
さらに、6時間未満の利用であれば「距離料金」は不要(パック以外)。予約時間の1分前まで無料でキャンセル可能です。出先で駐車場を探す際に便利な「最寄タイムズパーキング検索」や、給油したら自動で割引が適用になる「給油自動検知」など、カーナビも独自の便利機能が満載です。
乗らない月の支払いを抑えたいなら「オリックスカーシェア」
レンタカーでも知られるオリックスが提供するサービスです。基本料金は15分210円から。また、月額基本料は時間料金に充当できるほか、使わない月は基本料が無料になるプランも用意されています。数カ月に一度しか利用しないなど、乗らない月の支払いを抑えたい場合にはおすすめですが、その分通常料金が割高に設定されているため注意が必要です。
月額基本料2カ月分無料、時間料金の無料サービスなどの入会特典もあり、ステーション数は全国2000カ所以上。給油をすると15分相当の料金が無料になるサービスや、レジャー施設のクーポン券などお得な優待割引も用意されています。
ポイントがダブルで貯まる「ニッポンレンタカー カーシェアリング」
ニッポンレンタカーが運営するカーシェアリングサービスです。基本料金は15分209円から。月会費(980円)も2020年6月までは無料です。
日本レンタカーはポイント制度が充実しています。毎月の利用額に応じて「レンタカーポイント」(税抜100円につき5ポイント)とANAのマイル(税抜100円につき1マイル)の両方が貯まります。
利用開始予定時刻の1分前までキャンセル可能。ステーション数も拡大中で、全体的に利用しやすいサービスと言えそうです。
平日の利用が多いユーザーにおすすめ「careco(カレコ)」
careco(カレコ)は、首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)と関西(大阪・京都)を中心に、「三井のリパーク」を拠点として展開されているカーシェアリングサービスです。
10分140円から利用可能で、月会費無料プランも用意されています。また、利用料金200円ごとに1ポイントのTポイントを貯めることができ、 Tポイント300ポイントをカレコクーポン300円分に引き換えることもできます。
おもに平日に利用する機会が多い人は、「平日プラン」がオススメ。10分90円から利用できます。ただし、平日プランの会員が土日祝日に利用すると、休日の料金(10分170円)が適用され、通常プランより割高になるので注意が必要です。
初期費用・月額料金無料の「dカーシェア」
dカーシェアは、NTTドコモの運営するカーシェアサービスです。初期費用や月額料金が無料で、47都道府県にステーションを備えています。カーシェアの利用料金以外の出費がないので、月額料金を払うほど車を利用しない人にもおすすめです。
車の予約はアプリからおこない、鍵として登録したスマホさえあれば解錠できるシンプルさも魅力の一つ。給油で15分間の料金割引や、利用料金に応じたdポイントの付与など、ユーザーにとって嬉しいお得な要素もあります。
dカーシェアで実際に車を予約する方法は、下記記事を参照してください。
初期費用・月額料金無料の「dカーシェア」を実際に使ってみた──dアカウントの作成から車の予約・返却まで解説
夜に車を利用する機会が多い人は、日中のパック料金(6時間で概ね3000円以上)よりもお得な「ナイト(夜間)パック」が用意されているサービスを選びましょう。
たとえば「オリックスカーシェア」「タイムズカーシェア」「careco」の3社が提供しているナイトパックは、それぞれ対象の時間帯や価格は異なりますが、概ね2600〜2700円程度で18時〜翌9時頃まで利用できます。
カーシェアリングを利用する実際の手順
実際にカーシェアリングサービスを利用するときの大まかな手順を紹介します。今回は、タイムズカーシェアにインターネットで入会し、実際に乗車する方法を例に解説しますが、いずれのサービスも利用手順に大差はありません。
1ウェブや説明会のほか、入会機などで入会手続きをする
左:スマホやパソコンでタイムズカーシェアのWebページにアクセスし、入会申込をする右:本人名義のクレジットカードの登録が必須
いずれのサービスも、利用の際には入会手続きが必要です。タイムズカーシェアの場合、入会方法は次の4つ。入会時、初期費用としてカード発行手数料(1650円)がかかります。
- クイック入会:ウェブで申し込んだ後に店舗で会員カードを受け取る
- インターネット入会:ウェブで申込み、自宅で会員カードを受け取る
- カーシェア説明会:全国の特設会場などで説明を受け、その場で会員カードを受け取る
- 無人入会機:タイムズパーキングなどに設置されている入会機で必要情報を入力し、その場で会員カードを受け取る
2カードを受け取る
手続きが完了すると、後日会員カードが自宅に郵送されます。車のドアロックはこの会員カードをかざして解錠します。サービスによっては、スマホやSuicaなどで解錠できる場合もあります。
3パソコン・スマホ・アプリから乗車予約をする
会員登録が完了したら車を利用してみましょう。タイムズカーシェアは、予約専用のアプリが用意されています。トップページで利用開始日時と利用時間を選ぶと、予約可能な車が地図上に表示されます。
地図上に表示されたタイムズのアイコンを選択して[予約]をタップします。会員番号やパスワードを入力し、予約を確定させます。
4ステーションに行き、会員カードでドアを解錠する
予約したら利用開始時間までにステーションに行き、車を確認します。車の後部ガラスに貼られている「TOUCH」と書かれたマークに会員カードをかざし、ドアを解錠します。
5ダッシュボードからキーを取り出し、出発する
車のキーは、助手席前のダッシュボードに入っています。出発時は他の車が誤って駐車しないよう、駐車スペースに置いてあるスタンド看板を置いておきます。
タイムズカーシェアでは、利用時間中に専用のカードで給油・洗車をおこなうと、料金の割引が適用されます。
20リットル以上の給油や水洗い洗車で30分の料金が割引になるほか、給油と洗車の両方をおこなうと60分割引になります。
6車を元の位置に返却し、会員カードで施錠する
ステーションに戻ったら、必ず出発時と同じスペースに車を駐車します。キーをダッシュボードにしまい、会員カードをカードリーダー部分にかざして施錠します。
タイムズカーシェアでは、万が一忘れ物に気付いた場合、1度だけ会員カードでドアを解錠し車内を確認することができます。料金は、登録したクレジットカードを介して利用ごとに一括で精算します。
構成・文:藤原達矢
編集:アプリオ編集部