ドコモのツートップ戦略は、iPhone 5S導入への布石だった?

NTTドコモ加藤社長

2013年夏モデルでドコモはツートップ戦略を採用した。GALAXY S4(Samsung)とXperia A(ソニーモバイル)の2機種を販売プロモーション上で特別扱いするもので、結果は如実に現れた。

販売台数に大きな差が生じることはツートップ戦略発表時から事前に予想されていたこととは言え、各国内メーカへの衝撃は大きく、NECカシオとパナソニックはスマホ事業の見直しを行うことに。

スマホ市場シェアで苦戦を強いられていたフィーチャーフォン時代2強が揃って撤退へ舵を切った大きな要因として、ドコモのツートップ戦略があったことは間違いないだろう。

突出しているiPhone人気

先日、市場調査会社KANTAR Japanが発表したデータによると、2013年4月から6月にスマートフォンを新規契約・機種変更したユーザの49%がiPhone 5を選択している。このデータは、iPhoneを取り扱っているSoftBankとauだけでなく、iPhoneを販売していないドコモのユーザも合わせて調査されたもの。キャリア別で見ると、SoftBankでは91%、auでは64%のユーザが新規契約・機種変更でiPhone 5を選択している。

SoftBank・auのスマホ販売シェア

シェアを大幅に落としているとはいえ、いまだに40%程度のシェアを有している巨人ドコモ。9月10日に正式発表される見通しの新型iPhone「iPhone 5S」の取り扱いを開始すれば、Appleとの契約条件次第では新規契約および機種変更するドコモユーザの半数近くが新型Phoneに流れることも考えられ、三大キャリア全体で期別のiPhone販売台数シェアが50%を超える可能性も出てくる。

ドコモは国内メーカーを見捨てたのか

従来、ドコモは国内メーカーと持ちつ持たれつの「護送船団方式」を採用してきたが、ツートップ戦略でドコモ・国内メーカーの蜜月関係は消えつつある。

さらに、ドコモ加藤社長は従来「(販売台数の)2~3割なら扱ってもいい」と発言してきている。Appleがそのような契約条件を呑んだのかは不明だが、仮に3割程度の販売台数に落ち着くとしても、それはAndroidスマートフォンの販売台数が7割に下落することを意味する。ドコモでのスマホ販売に大きく依存してきた国内メーカーにとって、看過できないだろう。

すでにツートップ戦略の影響もあって、座席が2つ空いたドコモのスマホラインナップ。新型iPhone導入を決定していたドコモが、あらかじめ国内メーカーの市場退出を促した可能性も考えられる。

海外でも存在感を発揮するソニーモバイルはまだしも、既に厳しい戦いを強いられているシャープや富士通などは厳しい選択を迫られることになりそうだ。