「無料通話」に要注意、LINEもiPhoneのFaceTimeオーディオも実質的に無料ではない

2013-10-03 15:09

「無料通話」に要注意、LINEもiPhoneのFaceTimeも実質的に無料ではない

「無料通話」を謳うアプリは数多く存在している。LINEも「無料通話」を大々的にアピールしたことが、その爆発的な普及の一つの要因だった。

そのような無料通話アプリに強力なニューフェイスが登場した。iPhone 5s/5cなどのiOS 7以降を搭載する端末同士で利用可能となった「FaceTimeオーディオ」だ。先月のiOS 7の一般リリース以降、利用し始めたユーザも少なくないだろう。

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無料通話アプリの利用にはデータ通信料金が課される

筆者の周囲でも、通信関係に疎い知人が「iPhoneで無料通話ができるようになったんだよ!知ってる?」と話題を振ってくるほどで、FaceTimeオーディオは着実にユーザに浸透しつつあるようだ。電話アプリの利用フローの中に自然に統合されていることが浸透を早めているのだろう。

FaceTimeオーディオ

しかし、FaceTimeオーディオやLINEのようにスマホで「無料通話」をすることができるアプリを利用する上で注意しなければならないことがある。それは、ドコモ・au・SoftBankなどのキャリア通話の通話料が無料であっても、データ通信まで含めて考えた場合にキャリアに支払う料金は無料ではないということだ。つまり、無料通話アプリは3G・LTE・Wi-Fi回線などでデータ通信を利用しているため、通話するためにデータ通信料金を支払う必要があるのだ。自宅の光ファイバー・ADSLなどの固定通信サービスを利用してSkypeなどで通話する場合も同様だ。

もっとも、現在iPhoneやAndroidスマートフォンを利用する場合、大多数のユーザはキャリアとパケット定額プランで契約しているはず。したがって、無料通話アプリで3G・LTE回線を使って大量のデータ通信を行っても、基本的には一定額以上の料金を請求されることはない。新たに追加で通話料金に相当するデータ通信料金を請求されないという意味では、無料通話アプリは確かに「無料」と呼べるかもしれない。

速度制限を考慮する必要あり

では、通話をしたために新たに料金を請求されないという意味で「無料」だとしても、それは実質的に無料と呼べるものなのだろうか。

ここで一つ注意が必要な事実がある。それは、現在のキャリアのパケット定額プランでは、LTE高速通信を行える通信量が原則として当月あたり7GBまでということだ。7GBを超えた場合、当月末までの通信速度は送受信で最大128kbpsに制限される。状況によるが、これはLTEを利用できた場合に比べてかなり低速となる。7GB超過時に速度制限を外したい場合は、ドコモ・au・SoftBankともに2GBごとに2,625円の追加料金が必要となる。

追記(2017年1月28日):現在はパケット定額プランは多様化しており、各携帯キャリアによって料金にも多少の差がある。ただ、定額で利用可能なひと月あたりのデータ通信量が存在し、データ通信量を超過した場合の速度制限を解除するためには追加料金が必要である点は変わっていない。

追加料金を払う場合

そうすると、「無料通話」で大量のデータ通信を行う場合に速度制限を受けたくなければ、データ通信料金を追加で支払う必要が出てくる場合がある。その場合は、実質的に「無料」ではなくなる。

FaceTimeオーディオ データ通信量

筆者の環境下でFaceTimeオーディオを利用したところ、送受信ともに1分間あたり約500KB前後の通信データ量となっていた。単純計算すると、1時間で約30MB、100時間で約3GB。通話以外の様々なデータ通信と合わせると、通話時間が長くなるユーザは7GB制限を超過するケースも出てくるものと思われる。

他サービスを犠牲にする?

一方、速度制限を甘んじて受け入れ通話以外のデータ通信を犠牲にする方針を採れば、一応は「無料通話」を維持することはできる。しかし、通話以外のデータ通信を犠牲にすると、通信速度が重要となる動画閲覧などのサービス利用に多大な支障をきたすことになる。Webサイトの閲覧やアプリ利用にもストレスを感じるようになるだろう。サービスを受ける立場から考えた場合、この結果が「無料」と呼べる状態か、「無料通話」を利用することで望んでいた状態なのか、よく検討する必要があるだろう。

「無料通話」の対価として、何を支払うことになるのか。自分がスマホなどを利用するとき、どんな使い方に魅力を感じているのか一度考えた上で、通話以外のサービスとのバランスを図ることが重要だ。

追記:もちろん、Wi-Fiを利用すればキャリアへのデータ通信料金は発生しない。長時間通話をする場合は、Wi-Fiを利用することでデータ通信料金の追加負担をしなくても済む。Wi-Fiを使える環境の場合は、こまめにWi-Fiに切り替えて運用すればよいだろう。

ユーザ自身で無料の意味を考えよう

「無料通話」は、あくまでもデータ通信。その範囲内で何の通信にどれだけの通信量を割り当てるかはユーザ自身の選択に任されている。そのことが一般のユーザにどれだけ周知されているか、筆者としては懸念するところだ。あくまで筆者の周囲のスマホユーザに聞き取りを行った結果にすぎないが、女性ユーザや中高年ユーザを中心に通信量制限の存在自体を知らないユーザが少なくなかった。

キャリアによる通信速度制限は当面は解除されないと考えられる。「無料」をアピールするサービス提供者や、速度制限について分かりづらい告知を行っているキャリアにも問題はあるかもしれない。だが、ユーザ側としては、「タダほど高いものはない」の精神で各サービスを自分自身で確認してみる姿勢を持つ必要があるだろう。

追記(2017年1月):特定サービスの通信量をカウントしない格安SIMサービスが登場してきている

2017年現在、特定のサービスのデータ通信量をカウントしないカウントフリータイプの格安SIMサービスが複数登場している。そのひとつが、LINEモバイルだ。

LINEモバイルでは、LINEのトーク・通話がデータ通信量としてカウントされない「LINEフリープラン」や、LINEだけでなくTwitterとFacebook、Instagramも使い放題となる「コミュニケーションフリープラン」などが用意されている。

これらのプランを利用すれば、対象サービスの主な利用シーンにおけるデータ通信量分が文字通り「無料」で使い放題となる。自分の使い方を振り返ってみて、これらのサービスを使う時間が大半を占めているならば、LINEモバイルに乗り換えてみるのも検討に値するだろう。

LINEモバイル