Android 8.0を搭載したXperiaの最新モデル「Xperia XZ1(エクスペリア エックスゼットワン)」がNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクのスマートフォン2017年冬モデルとして登場(2017年11月10日発売)。Xperiaシリーズのハイエンド機種なので、注目している人も多いことでしょう。
先に登場している「Xperia XZ Premium」も同様にハイエンドモデルですが、最大の違いはサイズです。Xperia XZ1が5.2インチ液晶なのに対して、Xperia XZ Premiumは5.5インチです。Xperia XZ1は一回りコンパクトで使い勝手のよいモデルであるため、人気になるのは間違いなさそうです。
本記事では、Xperia XZ1(写真はau版)についてレビューします。
質感の高いボディが上位機らしい
本体のデザインは、まさに「Xperiaらしい」ところでしょう。
正面から見ると角張った長方形ですが、ボディサイドが百科事典の背表紙のように丸みを帯びています。手になじみやすく、持ちやすいデザインです。最近は、アルミボディーにダイヤモンドカットを施したり、前後をガラスボディにして曲線を強調したモデルが主流ですが、Xperiaは独自のデザインを突き詰めている点に好感がもてます。ひと目見て、Xperiaだとわかるのが嬉しいところです。
Xperia XZ1は、背面から側面までが一体化した仕上げになっているために継ぎ目が目立たず、剛性感の高さが手に伝わります。また、本体は148×73×7.4ミリとかなりスリムです。iPhone 7 Plusが7.3ミリですから、ほぼ同様の薄さと考えてよいでしょう。実物を見ると、素晴らしい完成度に欲しくなる人が多いはずです。
ただし、先進性を求めるユーザーには、ちょっとデザインが古めかしく感じるかもしれません。最近は狭額縁で画面占有率の高いモデルが増えています。しかし、Xperia XZ1は上下の額縁が相当に太く、本体サイズに対して画面が小さく感じるのです。このあたりは好みによって左右されそうです。高価格帯のモデルなので、Galaxy S8などライバル機と比較して検討することをおすすめします。
背面から側面まで金属ボディが回り込んでいる
ボディ側面は丸みを帯びていて、手によくなじむ
iPhone 7 Plusと比べても薄さはほぼ引き分けで、とてもスタイリッシュ
ハイレゾ対応、コンパクトながら音楽や映像にも強い
ソニー製のスマホらしく、ハイレゾに対応しているので音楽が好きな人にもおすすめします。
ソニー製のノイズキャンセリングヘッドフォンと組み合わせることで、ハイレゾとの両立も可能です。スピーカーも前面ステレオで上下に2つ付いています。音量も従来機に比べて5割アップしているため、映画を楽しむのにも向いています。コンパクトながらAVに強いモデルと言えます。
なお、充電端子はUSB-Cとこれから主流になるタイプを採用しています。また、QuickCharge 3.0に対応しているので、対応バッテリーを使うと短時間で充電が可能です。SIM、microSDカードスロットはピンを使わずに手で取り外すことができるのが便利です。
OSは最新のAndroid 8.0で、こちらも将来性はバッチリです。残念なことに、ベンチマークアプリがまだOSに対応していないようで、今回は計測ができませんでした。しかし、CPUはSnapdragon 835、メモリは4GBなのでカタログスペック的に性能は文句なしです。
実際に操作してみてもテキパキと快適に使えました。内蔵ストレージは64GBですが、音楽や映画コンテンツを大量に保存してこそのXperiaです。microSDカードの増設はマストでしょう。なお、SIMは一つのみ装着できます。
SIMカードスロットはツメで取り外せる
充電端子はUSB-Cなので先行きも安心
QuickCharge 3.0に対応しており、対応するバッテリーや充電器を使うと高速にチャージできる
5.2インチのディスプレイは液晶を採用
ディスプレイは5.2インチと、最近のスマホの中では小さめのスタンダードなサイズです。人気のある手ごろな大きさですが、解像度はフルHD(1920×1080ドット)にとどまります。Xperia XZ Premiumは4Kを採用しているので、その差は少なくありません。
比較すると精細さにはかなり差がありますが、Xperia XZ1を普通に使っていて液晶のざらつきが気になることはほとんどないでしょう。またHDRに対応しており、同じく対応している動画を美しく表示します。まだ対応コンテンツは多くありませんが、YouTubeやNetflixなどでも一部視聴できます。コントラストが高く、鮮やかな夜景には思わず目を奪われるでしょう。
しかし、このクラスのスマホとしてはちょっと物足りない点も否めません。最近は、多くの高級スマホが有機ELを採用しているためです。有機ELは液晶に比べると黒の締まりがよく、色鮮やか。写真やビデオの美しさもケタ違いです。ちなみに、最新の「iPhone X」も有機ELを採用しています。
右はiPhone 7 Plus。左のXperia XZ1のほうが明るく美しいように感じる(ただし写真もそれぞれで撮影)
カメラはシングルレンズだが十分な画質
Xperia XZ1はカメラに注力しているモデルです。1920万画素と精細で、F2.0、広角25ミリのレンズを搭載しています。最近、上位モデルのスマホで流行しているデュアルレンズではないので、光学ズームには対応していません。
レンズが一つだと物足りなく感じますが、実際に撮影してみると画質は十分です。薄暗い室内で撮影しても非常に美しいのも嬉しいポイントで、たとえば、2〜3年前の中級クラスのデジカメから買い換えると、明らかに差があります。
とはいえ、最近の高性能モデルはほとんどがカメラを特徴にしており、どの製品もとても美しく撮影できます。ひと言で表すなら、ほとんど差がなくなってきているのです。一昔前のように、カメラの画質だけを製品を選ぶ基準にはしづらくなってきました。
上:iPhone 7 Plus、下:Xperia XZ1で撮影。秋の朝に撮影した写真だが、どちらも美しく撮れている。Xperia XZ1はやや明るくあっさりした色合いに感じられる
左:iPhone 7 Plus、右:Xperia XZ1で、やや暗い室内にて撮影。どちらも十分に美しく撮れているが、Xperia XZ1のほうが窓の白飛びが抑えられており、模様がよくわかる
左:iPhone 7 Plus、右:Xperia XZ1で、もう少し暗い場所にて花を撮影。Xperia XZ1のほうが明るく撮れている
楽しい撮影機能が最大の特徴
カメラの画質は前述のとおり大満足ですが、ライバルとの差は大きくありません。実はXperia XZ1のカメラは、楽しい写真が撮れることが最大の特徴なのです。独自の「Motion Eyeカメラシステム」を採用し、従来比で5倍の高速データ読み出しができます。このような機能を活かして、他ブランドのスマホにはみられない撮影を実現します。ここでは、特徴的な撮影機能をいくつか紹介します。
「先読み撮影」は、被写体の動きや笑顔を検知すると自動で画像が保存され、撮影した写真と同時に表示する機能です。1度シャッターを押しただけで4枚の写真が表示されるので、好みのショットを選べます。シャッターを押す前の画像も保存されているのがすごい点です。
機能は自動なので必要な時に動作しないこともあります。また、動きが激しい被写体の場合、思ったシーンが撮れていないこともありました。しかし、普通に1枚のみを撮影するのに比べると、成功確率はかなり向上します。
先読み撮影では4写真が表示されるため、好みのショットを選べる
「スーパースローモーション」もXperiaらしい機能です。1秒を960コマで撮影する機能で、テレビの情報番組でよく見かけるようなスローモーションが撮れます。ただし、普通の明るさの室内でノイズが目立つので、屋外での撮影がおすすめです。
スーパースローは興味深い動画が撮れるが、室内ではノイズが目立つ
屋外なら、さほど明るくなくてもノイズが気にならない
3D撮影で立体画像が作れる
3Dスキャン機能では、人物やぬいぐるみ、花瓶、食べ物などを立体的に撮影できます。撮影した写真は指でスライドすることで、自由に全方向から見て楽しめます。ぬいぐるみなどを写しておけば、正面左右に加え、上からも見ることができるのです。
3D撮影機能をオンにしたら、画面の指示に従って被写体の周囲をぐるりと回るようにして認識します。写真を撮るというよりは、物をなぞるようなイメージです。指示がわかりやすいので、誰でも簡単に撮影できます。完成した画像は、指でスライドすると好きな方向から見ることができて、楽しいこと請け合い。座った人物などのように、周囲を含め上からも撮影できる大きさを被写体にするのがベストです。
3D撮影は画面の指示に従って被写体をスキャンする
この画面ではわかりにくいが、対象物をぐるりと回り込むように表示できる
まとめ
Xperia XZ1は、手ごろな大きさのプレミアムモデルです。高性能でカメラも楽しく利用でき、おサイフケータイや防水など、おなじみの機能はすべて搭載しています。高級モデルでもキャリアからの購入なら割引が利用できるので、さほど負担はないでしょう。
音楽や動画を存分に楽しめるほか、ヘビーなゲームもテキパキと動作するので、末永く満足して使いたい人におすすめします。国内メーカーのモデルだけあって、提供される情報もすべて日本語化されており、スマホに詳しくなくても安心して利用できます。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部