ドコモは、スマートフォンの新たなユーザーインターフェース(UI)として、現在開発中の「Grip UI」をCEATEC JAPAN 2012に出展していた。この技術は、単に「片手で操作できて便利だね」という一面にとどまらない。
予想以上のポテンシャルをもつ「Grip UI」
「Grip UI」とは文字どおり端末を握って操作するUIで、大画面のスマホで画面上の特定箇所に指が届きにくい場合や、片手がふさがっているような時でも、端末を持っている手だけで使いたい機能のショートカット起動を可能にしてくれるというもの。
スマホの側面に感圧センサーを配置し、端末を握っている力加減、位置、順番を検知して操作へ応用している。試作機では、全体を握ると「ロック解除」、中央なら「戻る」、上部で「ブラウザ起動」といったUIが割り当てられていた。
ブースで実際に試してみると、最初はなかなかセンサー位置や力加減がつかめず、うまく反応しなかった。しかし、アドバイスを受けながら感覚を把握できてくると、過敏すぎず遅すぎもしない快適なレスポンスをみせてくれ、タッチパネル以上に直感的に感じた。
実は当初、いわゆるジェスチャー系ランチャーなどでも代用が利くだろう、などと侮っていたのだが、実際に触れ、ブースの説明員にGrip UIの特徴を尋ねていくうち、実はとてもポテンシャルのある技術なのだと再認識した。
セキュリティ用途などへの応用も可能に
今回の試作機では側面にハードキーがなかったが、ここにポイントが集約されている。
ハードキーでは強さをはかることができないので、ON/OFFといった単純な入力しか検知できないが、Grip UIでは握りの強弱などによって、連続性のある操作もとらえることが可能である。
加速度センサーやジャイロセンサーなどと組み合わせることもでき、より複雑で繊細な入力コマンドが設定できるため、例えばこれをロック解除の操作に応用すれば、スマホのセキュリティ強化にもつながるというわけだ。
美しさと快適さを追求
そして、タッチパネルやハードキーでは触る位置へ指をもっていくため、持ち方を変えたり目で画面を見る「意識」が必要になる。
しかしGrip UIでは、握った状態を保持したまま操作できるため、センサー感度さえ優れたものになれば、「操作をほぼ意識せずに済む操作」が実現されていくことが考えられる。
見た目の面でも恩恵がある。今後Grip UIが普及し、端末の側面にハードキーの代わりにセンサーが埋め込まれるようになれば、端末は凹凸が少なく滑らかなフォルムとなっていく。
Grip UIを搭載した、美しい形のスマートフォンが生まれる可能性が高いはずだ。