2025年6月からiPhoneにマイナンバーカードの機能を登録できるようになりました。マイナンバーカードを登録するメリットやデメリットは何か、気になっている人も多いはずです。
iPhoneにマイナンバーカードを登録すれば、マイナンバーカードそのものを持ち歩く必要もなく、さまざまな行政手続きや本人確認に利用できます。一方、古いiPhoneには非対応で、運転免許証としては利用できないなどの注意点もあります。
「iPhoneにマイナンバーカードを登録する」とはどういうことなのか。メリットとデメリットをしっかり解説したうえで、登録の方法も解説します。
「iPhoneにマイナンバーカードを登録する」とは?

「iPhoneにマイナンバーを登録する」というのは、iOSのウォレットアプリやマイナポータルアプリを通じて、マイナンバーカードの電子証明書機能をiPhoneで利用できるようにする取り組みのことです。
電子証明書を活用したサービスの利用を広げるため、総務省とアップルの協力により順次展開が進んでいます。2025年6月には、iPhoneにマイナンバーカードを登録できるようになりました。
iPhoneに登録したマイナンバーカードは、デジタルの身分証明書として使えます。実物のマイナンバーカードがなくても同等の本人確認が可能です。コンビニや役所に持ち込んでの手続きや、オンラインの本人確認に利用できます。
iPhoneにマイナンバーカードを登録するメリット・デメリット
iPhoneにマイナンバーカードを登録すると、マイナンバーカード自体を持ち歩かなくてもよいなどのメリットがあります。しかし便利な反面、iPhoneが故障・紛失した際のリスクなども存在します。
以下、iPhoneにマイナンバーカードを登録するメリットとデメリットをまとめています。
メリット:行政手続きや本人確認がスムーズ、マイナ保険証としても使える
一番のメリットは、マイナンバーカードを持ち歩く必要がなくなることです。iPhoneがあれば電子証明書として利用でき、スムーズな本人確認が可能になります。
たとえばマイナポータルにログインするとき、これまではカード本体や暗証番号の入力が必要でした。iPhoneにマイナンバーを登録しておけば、カードがなくてもFace ID/Touch IDだけですばやくログインできるようになります。

さらには薬や医療費、年金の記録の確認、引っ越しの手続きなどさまざまな行政手続きをおこなえます。またコンビニで住民票の写しや印鑑登録証明証などを取得したり、確定申告の署名をしたり、店舗で銀行口座を開設したり、携帯電話を申し込んだりといった本人確認がスムーズにおこなえます。
セキュリティが強化されることもポイントです。iPhoneのFace ID/Touch IDと連動できるので、本人以外がマイナンバーカードを利用するのが難しくなります。
2025年9月19日から、iPhoneをマイナ保険証として利用できるようになりました。健康保険証が登録されたマイナンバーカードを追加することで、保険証がなくても医療機関や薬局で利用できます(機器の準備が整った医療機関や薬局で利用可能)。
- マイナンバーカードを持ち歩かなくてもよい
- マイナポータルにFace ID/Touch IDだけでログインできる
- 医療費、年金の記録の確認、引っ越しの手続きなど行政手続きが可能
- コンビニで住民票の写しや印鑑登録証明証を取得できる
- iPhoneのFace ID/Touch IDと連動できるためセキュリティが強化される
- 健康保険証が登録されたマイナンバーカードを追加すれば、マイナ保険証として利用できる
デメリット:端末の故障・紛失などには注意

古いiPhoneだとマイナンバーカードの登録に非対応
一方、デメリットもあります。端末によっては使えないことと、紛失や盗難のリスクです。マイナンバーカードはiOS 18.5以上、iPhone XS以降の端末である必要があります。古いiPhoneは非対応です。
また端末が壊れたり紛失したりすると、マイナンバーカードの機能は利用できなくなります。その場合、再登録や一時停止などの手続きが必要です。
Face ID/Touch IDと連動できるとはいえ、マイナンバーカードの情報をスマホに登録することに不安を感じる人も多いでしょう。データ漏洩や不正利用のリスクはゼロではありません。

最後は利用範囲です。マイナンバーカードのiPhoneへの登録は開始されて間もないため、登録してもすべてのサービスが対応しているわけではありません。
たとえば現時点で、iPhoneのマイナンバーカードは「マイナ免許証」として利用することはできません。免許証の提示が求められる場面では、実物の運転免許証やマイナ免許証を携帯している必要があります。そのため、実物のマイナンバーカードしか対応していない場合に備えて、しばらくは実物のカードも持ち歩く必要があります。
- 古いiPhoneには対応していない
- 紛失や故障のリスクがある
- マイナ免許証としては利用できないなど、利用範囲が限られている
iPhoneにマイナンバーカードを登録する手順
マイナンバーカードを追加できるスマートフォンは、1人につき1台です。
マイナンバーカードをiPhoneに登録するには下記のものが必要です。所要時間は5分くらいで済みます。マイナポータルアプリはApp Storeよりあらかじめインストールしておきましょう。
- iPhone(iOS 18.5以降を搭載したiPhone XS以降)
- マイナポータルアプリ
- 実物のマイナンバーカード
- 券面入力用暗証番号(数字4桁)
- 署名用電子証明書用暗証番号パスワード(英数字6〜16文字)
マイナポータルアプリを起動して「追加をはじめる」

マイナポータルアプリを起動し、ホーム画面にある[追加をはじめる]をタップします。
追加の手順や利用規約を確認する


しばらくマイナンバーカードの説明や追加の手順が表示されます。[次へ]をタップして画面を進めます。利用規約が表示されたら、[同意して次へ]をタップします。
顔の動きを撮影する



本人確認用に顔の動きを登録します。横を向いたり、眉毛を動かしたり、画面の指示に従って撮影してください。
券面入力用暗証番号を入力する

マイナンバーカード交付時に設定した券面入力用暗証番号(4桁)を入力し、[次へ]をタップします。
署名用パスワードを入力する

マイナンバーカード交付時に設定した署名用のパスワード(6〜16文字)を入力し、[次へ]をタップします。
マイナンバーカードを読み取る


画面のイラストを参考にマイナンバーカードを読み取ります。マイナンバーカードの上にiPhoneを置いて、[読み取り開始]をタップします。
読み取りに成功すると本人確認は完了です。
暗証番号を設定する


iPhoneでマイナンバーカードを利用するときに使用する暗証番号を4桁の数字で新しく設定します。
署名用パスワードを設定する


署名をおこなうときのパスワードを英数字6〜16文字で設定します。複雑なパスワードを用意するのが難しいときは、「実物のマイナンバーカードの署名用パスワードと同じ英数字を入力」をオンにすると、マイナンバーカードの署名用パスワードをそのまま利用できます。
暗証番号とパスワードの設定が完了したら、[Appleウォレットに追加]をタップします。
Appleウォレットに追加する



[続ける]をタップします。Face ID/Touch IDの認証をおこない、ウォレットに追加されるまで待ちます。
朝8時から19時30分に追加した場合、5分程度で利用可能になります。追加したのが19時30分以降だと、次の日の朝8時以降に利用可能となります。
マイナポータルアプリへ戻る


マイナポータルアプリに戻ります。[メニュー]をタップすると、iPhoneのマイナンバーカードが「利用可能」になっていることがわかります。
iPhoneに登録したマイナンバーカードを利用する方法
マイナンバーカードはマイナポータルへのログインだけでなく、コンビニでの各種証明書の取得など、使える場所やサービスが順次拡大される予定です。

マイナンバーカードを使うときは、Apple ウォレットから利用します。サイドボタンを2回押してウォレットを表示して、マイナンバーカードを選択します。
Face ID/Touch ID認証をおこなうとリーダーで読み取れる状態になります。iPhoneをかざしてマイナンバーカードとして利用します。
よくある疑問とその答え
iPhoneにマイナンバーカードを登録して利用するにあたって、よくあがる疑問と答えをまとめています。
iPhoneを紛失したら?
マイナンバーカードを追加したiPhoneを紛失・盗難にあった場合、コールセンターへ電話することで一時利用停止します。
マイナンバーカードを追加したiPhoneを紛失した、または盗難にあった際は速やかに下記に連絡してください。
0120-95-0178(24時間365日受付)
マイナンバーカードを削除するには?
新しい端末に機種変更するときや端末を売却するときなどは、追加したマイナンバーカードを削除する必要があります。
マイナンバーカードの削除は、マイナポータルアプリからおこないます。

[メニュー]をタップして、[iPhoneのマイナンバーカード]を開きます。画面一番下にある[削除]をタップしてください。



削除する方法を選択します。カードを追加した端末で操作するなら[iPhoneのマイナンバーカードで削除]をタップし、紛失などで端末が手元にないときは[実物のマイナンバーカードで削除]をタップします。そのまま画面の指示に従って、カードを削除します。
なお、新しい端末と古い端末が手元にあるときは、新しい端末にマイナンバーカードを追加するだけで、古い端末のマイナンバーカードの情報は削除されます。
券面入力用暗証番号や利用者証明用電子証明書のパスワードを忘れたら?
初期化申請をおこなう必要があります。
住民票のある市区町村にマイナンバーカードを持参し、初期化申請と再設定をおこなってください。コンビニのキオスク端末では初期化や再設定ができません。