ついに、iPhone Xが登場しました。iPhone 8の時にはほとんど見られなかった販売店前の行列もニュースで報道されており、期待の高さがうかがわれます。
一体どこがすごいのか、今回は、iPhoneにあまり詳しくないユーザーでもわかるように解説していきます。最廉価モデルでも11万2800円(税別)からという高価な製品だけに、じっくり考えてから買おうと思っている方も多いことでしょう。購入前に、何が素晴らしいのかきちんと把握していきましょう。
新登場のiPhone Xはおなじみの箱に入っています。
画面占有率が高い新デザインを採用
斬新なデザインで、実物を見ると心を奪われることでしょう。
まず目を引くのが、本体の大きさに対して画面が大きくなっているといことです。つまり、画面の占める割合が増えているのです。
iPhone 8シリーズまでは画面の上下に大きな縁がありましたが、ごく細くなっています。このデザインを「狭額縁」と呼びます。また、画面の縦横比も変わりました。
機種名 | サイズ | 縦横比 |
---|---|---|
iPhone X | 5.8インチ | 2436×1125ピクセル(2.17対1) |
iPhone 8(iPhone 6〜iPhone 7も共通) | 4.7インチ | 1334×750ピクセル(16対9) |
iPhone 8 Plus(iPhone 6 PlusからiPhone 7 Plusも共通) | 5.5インチ | 1920×1080ピクセル(16対9) |
iPhone 7 Plus(右)と比べると画面占有率が高いことがわかります。
iPhone Xは画面がより細長くなっています。画面の大きさは対角線の距離をインチで示します。同じインチ数でも、細長ければ幅が狭くて持ちやすくなるわけです。
実物を見ると、本体のほとんどが画面に感じてとても新鮮です。デザインが一新されているように思えますが、画面をオフにして並べて見ると、実にiPhoneらしいスタイルであることがわかります。基本的な形は踏襲しているのです。
画面をオフにすると実はデザインが似ていることがわかります。
画面が圧倒的に美しくなった
iPhone 7 Plusと斜めから比較してみると、鮮やかさや明るさがまったく違います。
iPhone Xのディスプレイは、液晶ではなくOLED(有機発光ダイオード)を採用しています。これは、有機ELという種類に属している次世代のディスプレイです。
液晶は、基本的に背面にライトが入っているために光ります。映像の黒い部分も、実はシャッターを閉じて光を通さないようにしています。後ろで明るく光っているので、どうしても、ややグレーがかってしまいます。
ところが、OLEDは画素の一つひとつが発光します。これにより、黒がより黒く、またさまざまな色も鮮やかに表現できます。横から見ても色合いが美しいのも特徴で、電力消費も抑えることができます。
iPhone Xのディスプレイは、これまでに発売されたどのiPhoneと比べても、圧倒的に美しく感じるでしょう。解像度も高くなり、ライバルの高級スマホと肩を並べました。
写真では表現しにくいのですが、実物を見ると画像が浮き上がるように感じます。一見液晶と同じように思えますが、発色の良さ、黒の締まりは桁違いです。写真が美しいだけでなく、白いバックで黒い文字を読むメールやSNSでも驚くほどくっきりした表示になります。文字の周囲もまったく滲まないのでキレが良いのです。このディスプレイには大きな価値があります。
iPhone Xのケースです。
実は、ケースの上に実物を置いて撮影しました。紙の写真よりもはるかに鮮やかで美しいことがわかります。
ホームボタンがなくなり操作性が変わった
iPhone Xでは、おなじみのホームボタンがなくなりました。正面をすべてディスプレイにしたわけですから、当然です。
Androidスマートフォンの同様のモデルは、ソフトウェアのボタンを表示して操作します。しかし、それではせっかく画面を大きくしてもコンテンツを表示できないエリアが生まれてしまい、あまり意味がありません。
そこで、iPhoneは操作性を変更しています。ホーム画面を表示するには画面下部のバーが表示されている部分を上にスライドします。スライドした状態でちょっと待っているとタスクに切り替わります。
また、コントロールセンターは、画面右上から下にスライドすればOKです。少し操作してみると、とても簡単で、すぐに覚えられるはずです。
使い慣れてしまうと、そもそもホームボタンがいらなかったのではないかと思うほどです。
顔認証の精度にビックリ
iPhone 7までは、ホームボタンに指紋センサーを内蔵していました。ところが、iPhone Xでは、ホームボタンと一緒になくなくなり、生体認証には、指紋に変わって「顔認証」が採用されています。Face IDと呼ばれる新しい機能です。
まず、自分の顔を登録するのですが、この際には3万以上の目に見えないドットを顔に照射して解析します。つまり、顔の形を立体的にデータ化しているのです。さらに赤外線イメージも取り込むことで個人を認識しています。これによって、明るさの異なる場所や暗いところでも問題なく認識できます。真っ暗な部屋でも使えるのには驚かされます。
実際に試してみると、その認識の早さと正確さには驚かされます。実は、Galaxy S8にも顔認証が搭載されていますが、精度は桁違いです。iPhone Xでは、ほぼミスがありません。
驚異的なのは、メガネを掛けていても登録できることです。さらにメガネを変更しても問題ありません。なんと、サングラスを掛けても認識されるのです。マスクをしていると認識するのは難しいようですが、指紋センサーよりも素早く快適に利用できます。どこまで使えるのか、事前に話題になりましたが、実用性は予想を大きく上回っています。
顔認証の登録では、画面を見ながら顔を回します。2回転させれば完了であっけないほど簡単です。
物欲をそそる完成度の本体
正面のインカメラの部分が出っ張っていますが、使い始めると違和感はありません。
今回はシルバーモデルをレビューしていますが、iPhone Xの本体デザインは、美しいことこの上ありません。前面と背面はガラスパネルで、特に背面は透明感のある仕上がりで吸い込まれそうな質感です。また、本体の周囲の金属は、従来のアルミではなくステンレススチールを採用しています。その輝きはクロームメッキのようで高級感があります。
シルバーモデルはちょっとクラシカルな印象を受けるかもしれません。側面から背面にかけては、まるで工芸品のような美しさがあるので、ケースに入れてしまうのが惜しいほどです。
本体のボタンは従来同様で、右にサイドボタン、左にロックと音量調整となっています。コネクターもLightning端子のみなので、付属のイヤーホンもLightning接続になり、ワイヤレスの充電にも対応します。このあたりは、iPhone 8と同様です。
気になるバッテリー駆動時間は、iPhone 7より2時間長いとされています。これは、さまざまな省電力機能が寄与しているのでしょう。ディスプレイのOLEDも電力消費が少ないのです。
ボタンはiPhone 7までとほぼ同様です。
カメラもはっきりわかるほど進化
デュアルレンズは縦に配置されています。
カメラは1200万画素と、iPhone 7までと画総数は同じですが、望遠側にも光学手ぶれ補正機能が採用されました。また、暗い場面にも強くなっています。
iPhone 7 Plusと比較してみると、暗い場面での撮影には相当な差があります。また、カラーフィルタが変わったために、色合いがより鮮やかになっているように感じます。
背景の白飛びが、iPhone X(左)のほうが少ないことがよくわかります。
かなり暗い室内で花を撮影しました。iPhone X(左)のほうが明るく色も鮮やかです。
撮影した写真をiPhone 7 PlusとiPhone Xで比べると圧倒的に向上しているように感じますが、これはカメラの画質だけの問題ではなく、ディスプレイの差も大きいのです。撮影した写真をパソコンにに取り込んで同じ条件で比較すると、カメラの違いがはっきりします。
また、インカメラも進化し、ポートレートモードが利用できるようになったのが楽しいでしょう。機能は、顔認証のためのセンサーなどを使って実現しています。
ポートレートがインカメラでも利用できます。
まとめ
iPhone 8があまり進化しなかったので、iPhone Xに期待していた方も多いでしょう。実物をテストしてみると、その進化は予想以上であることがはっきりとわかります。本体の質感はこれまで以上に高く、持っているだけで嬉しくなるでしょう。ディスプレイの鮮やかさにも圧倒されます。
スマホを先進的に使いたい方には、迷わずおすすめします。かなり高価ですが、価格以上のメリットを感じられることは間違いありません。
iPhone 8は誰が買い替えるべきなのか、旧モデルとの比較を中心にレビュー
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部