「ポケモンGO」が2016年7月22日、日本国内のGoogle PlayとApp Storeで正式に配信を開始しました。
ポケモンGOは「Ingress」のNianticと株式会社ポケモンの共同開発となるポケモンの位置情報ゲーム。基本プレイは無料。プレイヤーが実際に家の外に出てポケモンを探したり、他のプレイヤーと出会ったりしながら楽しめます。
ポケモンGOはどんなゲームなのか
ポケモンGOの起動中にポケモンが自分の近くに現れると、スマートフォンが振動して通知。マップ上に現れたポケモンをタップすると、ポケモンと遭遇します。そこで、画面を通して実際の風景の上に現れたポケモンに、画面上のモンスターボールをスワイプして投げるとポケモンをゲット。たくさんのポケモンを捕まえて、ポケモン図鑑の完成を目指します。
また、ポケモンGOには、「ジムバトル」というシステムが存在します。ポケモントレーナーたちは、3つのチームに分かれて「ジム」を取り合っており、プレイヤーはどれか1つのチームに参加。チーム参加後は「ジム」に所属し、自分と同じチームのプレイヤーと協力し、ポケモンをジムに配置してジムを守るのがポケモンGOの醍醐味のひとつです。
すでにサービスを開始している米国などでは人気が過熱しており、任天堂の株価も大幅に上昇するなど、ちょっとした社会現象になっています。このブームが一過性で終わるのか、それとも継続して遊ばれ続ける名作となるのか、要注目です。
故・岩田氏も関わったポケモンGOに期待されること
ポケモンGOの企画開発には、2015年7月に亡くなった任天堂前社長の故・岩田聡氏も参加していました。Nianticの川島氏は2015年9月のポケモンGO制作発表時、岩田氏に関して次のようなコメントをGoogle+に投稿しています。
やっと発表することができた。岩田さんが逝去された時も、公にメッセージを書いたりできなかった。その数ヶ月前にはお会いしていたというのに、だ。
東京、そして京都の任天堂での、ジョン・ハンケを交えての会議。
Ingressは、見過ごされていた街の小さな芸術、大きな芸術、人の創造力の素晴らしさに、テクノロジーの力で光を当てることができることを示した。もう一度、自分の立っている世界をよく見つめ、周囲に立っている人とつながること。国境や言語や文化を超えて、共に歩むこと。
この体験を子供の世界へとさらに広げていくことという挑戦に、岩田さんは、力強く頷いてくれた。特に、子供が自分だけでスクリーンの中にこもるのではなく、親と一緒に家族で世界を、楽しめるようにすることに、喜んでくれていたと思う。
岩田さんは、ポケモンを創りだした石原さんと最後までこのプロジェクトの成功へ向けた打ち合わせをされていた。
家族で楽しめること、子供が外に出て、世界の素晴らしさと出会えること。Wiiで様々な年代へとゲームの楽しさを取り戻した岩田さんの次の開拓を実現させること。
テクノロジーの力で、世界に情報のレイヤーを重ねていくこと。子どもたちはきっと、世界の素晴らしさや美しさ、無数の「可能性」に溢れた場所であること、世界は見えているままとは限らないことに、新鮮な空気を吸いながら、気づいていく。
子どもたちの80%が運動不足と言われている現代。
一方の未来には、子どもたちが、家で機械を被りスクリーンに没頭している世界がある。
一方には、スニーカーを履いて、友達と街へ飛び出したくてうずうずしているような、未来。テクノロジーを否定するのではなく、活用し、Niantic はパートナーたちとそういう未来の可能性を探ろうとしている。それが子どもたちの見つめる世界を、未来を、変えることにつながると、考えているのだ。
岩田さんが最後に遺した落し子が、世界の子どもたちと一緒に世界へと歩き出すその日が、僕は待ちきれない。
ようやくいうことができる。ご冥福をお祈りします。子供がみんな家に引きこもったいたら、天国からは見えない。一人でも多くの子どもたちの笑顔が岩田さんのいるところから見れるよう、微力を尽くしたいと思います。
+Masashi Kawashima
川島氏は、米国での正式リリース時にも同じくコメントを寄せています。
Pokémon GOが、遂にアメリカで正式公開されました。
(中略)
そして、岩田さん、ようやくここまで来ました。どうか空からどれだけの人々が外へと飛び出していくか、見ていてくださいね。
Pokémon GOが、現実の世界の捉え方を変えるきっかけになったら。世界が素晴らしい場所であることに気づくきっかけになってくれたら、と願っています。日本とシリコンバレーが力をあわせるよい例になってくれたら、とも思います。
僕は、きっかけづくり以外は本当になんにもやっていないのですが、ローンチのためにチームが集まっている中、CEOのジョン・ハンケに背中を押されて、アメリカ版の「公開」ボタンを押すはめになりました。
「Dreams come true!」
と言って押しました。夢と現実が混ざり合って、新しい現実が世界中でつくりあげられていく、そんな始まりになったらいいな、と思います。
(後略)
たしかに、先行してリリースされている米国などでは、立ち入り禁止区域への侵入や歩きスマホによる事故や怪我など、さまざまな問題が発生しているようです。そして日本においても、プレイヤーの行動が問題視されることになるのはほぼ確実。ポケモンGOの前身となるゲーム「Ingress」でも、プライバシー問題やプレイヤー間の争いなど解決すべき課題が見受けられました。低年齢層の参加が見込まれるポケモンGOでは、トラブルがさらに起こりやすくなる可能性があります。
しかし、川島氏が述べているように、ポケモンGOは「現実の世界の捉え方を変えるきっかけ」となるゲームであることも、また紛れも無い事実。Ingressのプレイヤーからは「ゲームを楽しむ中でさまざまな土地を訪れ、普段は気づかなかったような日常の景色を再発見できた」というような感想が多く聞こえてきており、おそらくポケモンGOも同じように現実世界を捉え直す契機になるはずです。
「ポケットモンスター 赤・緑」の発売から20年。そして岩田聡氏の逝去から1年。ポケモンはその舞台をスマートフォンに移し、新しい世界が始まります。
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