ストーカー規制のあり方を議論してきた警察庁の有識者会議は8月5日、罰則強化や非親告罪化などとともに、LINEやTwitter、FacebookなどのSNSを悪用してしつこくメッセージを送ることなども規制対象にすべきだとの提言をまとめました。
LINEでストーキングは許されているのか
このニュースを知って「あれ、それってストーカー行為じゃなかったの?LINEやTwitterでのストーキングって許されてるの?」と疑問に思った人も多そうです。昨年、東京・三鷹市で発生した女子高生殺人事件では、LINEが"悪用"されたことが記憶に新しいところです(今回の有識者会議は事件を受けて設置されたものです)。
では、なぜLINEやTwitter、FacebookなどのSNS上で相手にしつこくメッセージを送る行為が「ストーカー行為」ではないのでしょうか?違和感がありますよね。
答えは、冒頭の一文で説明されていると言っても良いでしょう。つまり、そのような行為は、ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)上の「ストーカー行為(つきまとい等)」には該当しないからです。昨年の法改正で「拒まれたにもかかわらず、連続して」「電子メールを送信すること」がストーカー行為に含まれるようになりましたが、「SNS上のメッセージ送信」は電子メール送信ではないため規制対象外となっているのです。
法律で定めていなければ処罰できない
ここで重要なのが、刑罰法規の基本原理である「罪刑法定主義」の存在です。この原理を簡単に説明すると「法律で犯罪だと定めていない行為は、罰することはできませんよ。どんな罰を与えるかも法律で定めなければいけませんよ」というものです。SNS上でしつこくメッセージを送信した時点で、それが道徳的にも国民感情的にも"許されない"行為だとしても、法律で処罰対象として定められていない限り罰することはできないわけです。裏を返せば、少なくとも法律上は"許されている"ということです。
通信端末がガラケーからスマホに移行する過程で、コミュニケーション手段は電子メールからLINEなどのコミュニケーションアプリへと急激に変化してきています。常に法律は現実には追いつかないもの、ということでしょうか。