本日から5日間開催されるCEATEC 2013で、トヨタ自動車が日本で初めて超小型3輪EV「i-ROAD」を公開するとともに、次世代の交通システム「Ha:mo(ハーモ)」を前面に出しアピールした。
バイクのように走るEV「i-ROAD」
i-ROADは、トヨタが開発中の超小型EV(電気自動車)で、前輪2輪・後輪1輪の3輪構造が特徴的。一見すると一人乗りのように見えるが、後部座席も存在する二人乗り車両だ。
大きさは、全長2,350mm、全幅850mm、全高1,445mmで空車重量は300kg。前輪2輪駆動で最高時速は45km、1充電あたりの走行距離は50kmとなっている。
未来を感じさせるのは、何といってもコーナリング時の挙動だろう。ドライバーがハンドルを切るとバイクのように傾き、後輪がドリフトするように走行する。
バイクと異なるのは傾く原理。開発に携わっているトヨタ自動車製品企画本部の谷中氏によれば、バイクの場合はドライバー自身が重心を移動させ車体を傾けるのに対して、i-ROADではコンピュータ制御によりi-ROAD自身が適切な傾きを作り出すとのことだ。
小回りを重視するための前輪駆動・後輪ステアリングという設計は乗用車としては特殊だが、最新の技術で運転の難しさを解消している。また、2輪の前輪はカーブ時にお互いに異なる回転速度に自動的に調節されるとのことだ。
トヨタが、超小型車としての小回りの良さを最大限に追求している現れだろう。
単なるカーシェアリングではない交通システム「Ha:mo(ハーモ)」
i-ROADは、Ha:mo(ハーモ)という低炭素交通システムに組み込まれる形で運用されることが想定されている。Ha:moは、トヨタと愛知県豊田市などが実証実験中。車と公共交通機関およびHa:mo RIDE(超小型EV「COMS」と電動アシスト自転車「PAS」のシェアリングサービス)を組み合わせて、環境と利便性のバランスを最適化したルートを案内する。昨年10月から行われており、本日よりサービスが10台規模から100台規模に拡大された。
谷中氏によると、Ha:moの目的は「公共交通機関の利用率を増やすこと」にあるという。例えば、A地点からB地点へルートを検索すると、車だけでなく電車・バスなどの公共交通機関を組み合わせたルートを案内し、利用可能であればHa:mo RIDEも予約することができる。結果として、環境にやさしい交通システムと街づくりが可能となる。Ha:moはスマホアプリ(Android・iOS)を通して利用することができる。
「イメージとしてはドアtoドア、様々な公共交通機関をつないで使うための存在にしたい」と語る谷中氏。サービス実用化の時期については「東京オリンピックが開催される2020年では遅すぎる」とのことだ。
オリンピックの選手村や会場が集まる東京都心部で、i-ROADが風を切って走りまわる光景が見られる可能性は低くはなさそうだ。