Huaweiの最上位モデル「HUAWEI Mate 10(ファーウェイ・メイトテン)」が登場しました。SIMフリーAndroidスマートフォンの中でも、ハイエンドモデルとして人気の高いMateシリーズの最新機種です。
今シーズンは「Mate 10 Pro」と下位モデルの「Mate 10 lite」が発売されています。昨年はMate 9のみのリリースだったため、機種ラインナップが増えた格好です。本記事では、最上位モデルのHUAWEI Mate 10 Proをじっくりレビュー。話題のiPhone Xとも比較しています。
トレンドの細長いディスプレイを搭載
HUAWEI Mate 10 Proを目にして最初に感じるのが、ディスプレイの大きさでしょう。単にサイズが大きなだけでなく、画面の額縁が狭いために本体サイズの割にはとても大きく感じます。実際のサイズは6インチです。
新登場のHUAWEI Mate 10 Pro
とはいえ、最近はディスプレイの縦横比が変わってきているので、単純にインチ数だけで大きさを比較できなくなりました。これまではアスペクト比(縦横比)が16対9のディスプレイが一般的でしたが、最近は18対9が増えています。つまり、より細長くなっているわけで、数値の割に面積は増えていません。
iPhone Xのディスプレイサイズは5.8インチです。0.2インチしか差がないわけですが、大きさは随分違うように感じます。iPhone Xのディスプレイは2.17×1ですから、さらに少し細長いわけです。ただし画面上部に切り欠きがあるので、実際に使える面積はやや狭くなります。HUAWEI Mate 10 Proは、数値以上に大画面なのです。
実物を比較してみると、5.8インチと6インチという数値の差以上に、見た目の大きさが違うことがわかるでしょう。
- HUAWEI Mate 10 Pro:サイズ154.2×74.5×7.9ミリ、重さ178グラム
- iPhone X:サイズ143.6×70.9×7.7ミリ、重さ174グラム
サイズや重さを比較しても、HUAWEI Mate 10 Proが一回り大きくなっています。ケースに入れて使うことを考えると、HUAWEI Mate 10 Proは手の小さな人にはちょっと大きすぎるかもしれません。
左のiPhone Xと比べると一回り以上大きく感じる。どちらも画面が細長いのが特徴だ
本体が大きすぎると感じる人のために、キーボードを左右に寄せる機能も搭載
ボディの完成度は高く、とても美しい
HUAWEI Mate 10 Proのボディは、まさに今シーズンの上位モデルらしい構成。背面パネルにガラスを採用しているのも今のトレンドです。緩やかにアールを描いているので、手にもなじみやすく、とても高級感があります。
ミラー仕上げのため、周囲の景色が写り込む様子が何とも言えません。また、背面のデュアルレンズの部分がアクセントとして強調されており、目立たない仕上げのストライプが入っています。記事冒頭の写真に掲載した化粧箱にも、同じような目立たないラインが入っています。これが、デザインの特徴の一つになっているのです。
ガラスのボディは手触りもとても良いのですが、驚くほど滑ります。紙の上などに置くと、ちょっと触るだけでスルスルと滑ってしまいます。机から落ちる危険性も高いので、ケースに入れて使うのが現実的でしょう。せっかくの背面が隠れてしまうのは残念ですが……。
背面もガラスパネルを採用。これは今シーズンのトレンドだ
背面は緩やかにアールを描いており、手によくなじむ。ミラー仕上げで映り込みも素敵だ。レンズの部分にストライプが入るのも特徴となっている
箱にもストライプが入っている
ディスプレイはライバルに負けている
Mate 10 Proは最上位モデルらしく、液晶ではなく有機EL(OLED)を採用しています。有機ELはiPhone Xにも搭載され、今や上位機の条件になったとも言えます。また、大画面テレビでも上位機には採用されはじめています。
液晶に比べると発色が良くてコントラストが高く、文字や画像がくっきりと見えます。こちらもiPhone Xと比べてみましょう。
ディスプレイサイズ | 解像度 | コントラスト比 |
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HUAWEI Mate 10 Pro | 6インチ | 2160×1080ドット(402ppi) | 70000対1 |
iPhone X | 5.8インチ | 2436×1125ドット(458ppi) | 100万対1 |
残念なことに、スペックでは大幅に負けています。解像度もあまり高いとは言えません。いわゆるフルHD(1920×1080ドット)で縦長になった分だけ解像度が増えたと思えばよいでしょう。
実際に比較してみると、明るさで完敗です。その差は想像以上に大きく、実物を見比べても明確に劣っていると感じます。単体で使っていても決して明るいとは言えません。最高輝度にして、ちょうどよいくらいです。真夏の直射日光下で使う際には物足りなく感じるでしょう。
左:iPhone X、右:HUAWEI Mate 10 Pro。iPhone Xに比べると、明るさにかなりの差がある
左:iPhone X、右:HUAWEI Mate 10 Pro。文字のくっきりさでも、だいぶ差があるのがわかる
デュアルカメラはさすがの写り
カメラはダブルレンズで、例によってライカブランドとなっています。センサーは2000万画素のモノクロと、1200万画素のカラーとなります。f/1.6の明るいレンズに加え、光学手ぶれ補正を採用して、明るく写るのが特徴の一つです。
また、AIを活用して被写体を自動判別し、最適な色やコントラストなどの調整をします。普通に撮っても美しく写るのが嬉しいポイントです。さっそく撮影して、iPhone Xと比較してみました。
左:HUAWEI Mate 10 Proで撮影、右:iPhone Xで撮影。いずれも甲乙付けがたいほどよく撮れている
左:HUAWEI Mate 10 Proで撮影、右:iPhone Xで撮影。HUAWEI Mate 10 Proで撮った写真のほうが背景がよくぼけている
公園で撮影した写真はどちらも目を見張るほど美しく、実物を目で見るよりも素敵です。こちらはもうほとんど互角と言えるでしょう。紅葉している葉を接写したところ、こちらは“ぼけ”に随分と差がありました。HUAWEI Mate 10 Proのほうがよりぼけますが、どちらが良いかは好みによるでしょう。
暗い部屋での撮影でも大きな差が出ました。iPhone Xのほうが色鮮やかに撮れています。見た目に近いのはHUAWEI Mate 10 Proですが、iPhone Xの写りが好みだという人が多そうです。どちらもノイズが少なく、よく撮れています。
左:HUAWEI Mate 10 Proで撮影、右:iPhone Xで撮影。iPhone Xの色合いが好みという人が多そうだ
ぼかした写真もうまく撮れる
Mate 10 Proは、ダブルレンズを活かして背景をぼかした写真を撮影できます。撮影時に効果の強弱をマニュアルで調整できるのも特徴です。最高にぼかした状態で撮影してみましたが、なかなかうまく撮れました。
若干輪郭が不自然に感じる部分もありましたが、スマホのぼかし機能としてはかなり正確です。ほぼ同じ距離からiPhone Xで撮影してみましたが、こちらは本来はぼけてほしくないパンダの耳の部分がぼけてしまいました。
また、Mate 10 Proはモノクロセンサーを搭載するので、モノクロ写真の撮影が得意です。明るさを調整するだけで、ちょっとアートっぽい撮影ができます。Mate 10 Proを手に入れたら、作品づくりを目いっぱい楽しんでください。
左:HUAWEI Mate 10 Proで撮影、右:iPhone Xで撮影。iPhone Xの写真はパンダの耳部分もぼけてしまった
HUAWEI Mate 10 Proはモノクロ写真の撮影が得意
スマホのカメラはどんどん機能が向上しています。さらに、最上位モデルともなると、どれを使ってもほぼ満足できるでしょう。価格なりの性能は発揮してくれます。HUAWEI Mate 10 Proのカメラも満足して使い続けられるはずです。
性能は文句なしでバッテリーも長持ち
ベンチマークを計測してみたところ、スコアは最上クラスで、これなら長い間快適に使えるはずです。CPUはHUAWEI独自のKirin 970を採用しています。さらに、AIによるサポートも特徴で、カメラの被写体認識にも利用されています。
バッテリーは4000mAhと十分な容量で、実際に使ってみても減り具合が少ないように感じました。独自の急速充電規格「HUAWEI スーパーチャージ」に対応していますが、専用のACアダプターとケーブルが必要になります。
Quick Chargeのように市販のバッテリーなどでは充電が早くならないのは残念です。たとえば、会社と自宅などに急送充電環境を整えたい人は、純正品の販売を待って手に入れるしかありません。
ベンチマークのスコアは最上位クラス
OSは最新のAndroid 8.0を搭載している
DSDSにも対応する
HUAWEI Mate 10 ProはSIMを2枚セットでき、デュアルSIM・デュアルスタンバイ(DSDS)に対応します。LTEも同時待ち受けができ、VoLTEにも対応するので、複数の回線を使っているユーザーには魅力的でしょう。
ただし、microSDカードはセットできません。本体のストレージが128GBと余裕があるので、当面は容量が不足することはないでしょう。しかし、microSDカードを利用して写真などを管理している人にはちょっと不便です。
SIMは2枚挿せるが、microSDカードは利用できない。イヤホン端子もない
周波数帯のカバーも幅広く、ドコモやソフトバンクの利用は問題ありませんが、auではau VoLTEと3G通話(CDMA2000)に非対応で、製品スペックにも「KDDIの移動体通信網には非対応」と書かれています。間違って買わないように気をつけてください。
通信方式
- FDD LTE:B1/2/3/4/5/7/8/9/12/17/19/20/26/28/32
- TDD LTE:B34/38/39/40/41(2545-2655MHz)
- WCDMA:B1/2/4/5/6/8/19
- TD-SCDMA:B34/39
- GSM:850/900/1800/1900MHz
- セカンダリーSIM:LTE、WCDMA、GSMの上記周波数
まとめ
HUAWEI Mate 10 Proは、画面サイズが大きく、有機ELを採用するという今シーズンのトレンドをしっかり押さえた上位モデルです。AndroidのSIMロックフリースマホの最高峰と考えて間違いありません。
iPhone Xと比べるとディスプレイがやや劣り、おサイフケータイにも対応しないなど、いくつかの欠点があります。それでも、iPhone Xは64GBモデルで11万2800円、256GBモデルは12万9800円もします。HUAWEI Mate 10 Proも安くはありませんが、8万9800円とそれなりの価格差はあります。
この性能と完成度のモデルが9万円以下なら、コスパは悪くありません。アンチiPhone派には、よい選択だと思われます。
HUAWEI Mate 10 Proを扱う格安SIM・スマホ事業者
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部