Y!mobileから、Android One(アンドロイドワン)と呼ばれる端末がS3、S4、X3、X2と一気に4モデルも登場しました。テレビCMなどでもよく見かける上に、価格もリーズナブルなので気になっている人も多いはず。
そこで、本記事では初めて購入するユーザーのために、Android Oneとはどういうスマホなのか、そしてどのモデルを選ぶべきなのかを紹介していきます。
【2019】ワイモバイルの最新Android One「S5」「X5」をまとめてレビュー
そもそもAndroid Oneとは?
スマホには大きく、iPhoneとAndroidスマートフォンの2種類があります。OSという基本ソフトが違うので、それぞれは根底から異なっています。iPhoneのOSは「iOS」で、AndroidスマートフォンのOSはその名のとおり「Android」です。
Androidスマートフォンは様々なハードウェアメーカーが製造して発売しています。ソニーやサムスン、シャープなどがおなじみですが、他にも多くの企業が参入しています。それぞれのメーカーは、OSを自社向けにカスタマイズしています。店頭などでいろいろなAndroidスマートフォンをチェックすると、ずいぶん違いがあります。そもそもOSが同じだと感じないかもしれません。これまでスマホの差は、外観や性能などに加え、メーカーによるOSの違いがあったのです。
Android OneもAndroidスマートフォンですが、メーカーはほとんどOSをカスタマイズしていません。ですから、違うメーカーのスマホでも、画面の中はほとんど同じように見えますし、操作性もほぼ同一です。とてもシンプルなのでわかりやすい上に、カスタマイズの度合いが極めて低く、新しいOSへのアップデートがいち早くおこなわれるメリットがあります。
Android Oneは「Googleサービスが使いやすい」というのが売り文句になっていますが、実は他のスマホでGoogleサービスが使いにくいわけではありません。Android Oneは、常に最新のOSが使えるのが最大のメリットなのです。逆に言えば、異なるメーカーのスマホを買っても、あまり違いが感じられないと思うはずです。
HTC製「X2」のホーム画面
京セラ製「S4」のホーム画面。X2とほとんど同じだ
X2の設定画面では、エッジセンスなど独自機能のメニューが目立つ
S4の設定画面でも、上から3つ目以降は同じだ
Android Oneを選ぶ時のポイントは?
ほぼ同じように見えるAndroid Oneだけに、選ぶ時にはかなり迷うかもしれません。しかし、選び方は普通のスマホと変わりません。逆に言えば、異なるメーカーがほぼ同じクラスの製品を投入しているということです。最近は、画面が細長いモデルやデュアルカメラのスマホが目立っていますが、今回取り上げる4モデルはどれも該当しません。
先進性や高性能モデルを手に入れたいと考えているなら、他の高級モデルを買ったほうがいいのです。また、とにかく安い製品がほしい人も、SIMロックフリーの格安モデルをおすすめします。
新登場した4モデルは画面の縦横比なども近く、はっきり言って差が少ない
ワイモバイルのAndroid Oneがマッチするのは、中級クラスのスマホを手に入れて、古びることなく使い続けたい人です。
“古びない”というのは外観の話ではありません。いつでも最新のOSが使えるということです。1〜2年で買い換える人よりは、3年は使い続けたいと思っている人におすすめします。決して高性能とはいえないので、ヘビーなゲームをプレイするなどの使い方をしないユーザーに向きます。
続いて、4製品のポイントを順次紹介していきます。なお、カメラに関しては最後にまとめて比較します。
液晶が魅力のシャープ製「S3」
シンプルなデザインで、液晶が鮮やかなシャープ製のS3
S3はシャープ製の低価格モデルです。デザインは一昔前のスマホを彷彿とさせますが、クセがないのであまりこだわりがない人にはよいでしょう。高級感は程々ですが、地味なので飽きがこないはずです。
ディスプレイが5インチとコンパクトで持ちやすく、女性にも使いやすいサイズです。液晶はシャープ製らしくIGZOを搭載しています。色鮮やかで美しく、解像度もフルHDとこのクラスとしては十分です。
AnTuTuベンチマークのスコアは50251と、中の下程度です。普通に使うには問題ありませんが、ゲームには向きません。目立つ特徴は防水くらいですが、価格は3万2400円とコスパ重視派は要チェックの製品です(ワイモバイルで一括払いをした金額を掲載。以下同)。
背面も派手さのないデザインで飽きないだろう
充電端子はUSB-C(今回取り上げるすべてのモデルが同様)
SIMスロットは手で外せるタイプ
赤外線通信に対応する京セラ製「S4」
5インチのディスプレイを採用したS4
京セラ製モデルの「S4」は、ガラケーからの乗り換えを強く意識しています。最近のスマホとしては珍しく、赤外線通信機能を搭載しているので、ガラケーとファイルのやりとりがしやすくなっています。
また、京セラ独自の「ハイブリッドシールド」ディスプレイで割れにくいのも特徴。液晶の縁(フチ)が若干盛り上がっており、万が一落とした時にもガラスが直接床面に当たりづらく設計されています。
外観はS3とよく似ていて、特に背面から見るとかなり近い形状です。S4はパール系のカラーなので、少しエレガントに見えます。ディスプレイはS3と同じ5インチですが、本体サイズは若干大きいので、少しでも小さなスマホがほしいなら両者を比べてみるとよいでしょう。
AnTuTuベンチマークのスコアは51243で中の下といったところのため、こちらもゲーム目的の利用にはおすすめしません。価格は3万2400円。価格の安いモデルとなるS3、S4はともにおサイフケータイを搭載しません。
S3に似ているが、パール系の仕上げでエレガントだ
SIMカードは指で取り外せる
おサイフケータイも搭載する上位機「X3」
金属バンドが高級感を醸し出しているX3
京セラ製の上位モデルです。特徴は「日本仕様」であること。おサイフケータイを搭載しているのはとても嬉しいポイントです。さらにワンセグ、赤外線通信、防水・防塵対応と死角はありません。また、本体にはストラップを通す穴も付いていて、確かにガラケーからの乗り換えには向いています。
本体は非常に質感の高い金属ボディですが、液晶が5.2インチなので微妙に大きく、またちょっと重く感じます。実際には150グラムなのでさほど重いわけではないのですが、金属製のバンドがそう感じさせるのでしょう。高級感のあるデザインです。
AnTuTuベンチマークのスコアは84884で、中の上といったところ。末永く快適に使えるはずで、ゲームもそれなりに楽しめることでしょう。ストレージが32GBとやや容量が心許ないので、写真をたくさん撮るなら、microSDカードによる増設を視野に入れることをおすすめします。価格は6万7932円。
おサイフケータイも搭載する
SIMスロットは指で取り出せる
個性的で美しいデザインのHTC製「X2」
X2はHTC製のモデル
X2は今回の4台の中で唯一、海外メーカーの製品です。ブルーのモデルは背面が碧いミラーで、斬新かつ美しい仕上げです。指紋が気になりますが、人と違ったデザインのスマホを求める人にはおすすめです。また、ホワイトのモデルはやや落ちついたカラーになっています。
X3同様に高価格帯(6万7932円)のモデルで、おサイフケータイや防水・防塵に対応します。ワンセグを搭載しないのが残念ですが、ハイレゾ対応のイヤホンが付いているので、テレビよりも音楽好きのユーザーに向きます。
ディスプレイは5.2インチと少し大きめですが、デザインが美しく、大きすぎるようには感じないでしょう。フチがアールを描いている2.5Dというタイプのガラスを採用しているのも、高級に見えるポイントです。
スペックも高く、AnTuTuベンチマークのスコアで93903と性能は中の上です。また、ストレージが64GBと余裕があるため、たくさんの音楽を持ち歩けます。
ミラー仕上げの背面カラーが特徴的だ
2.5Dガラスは艶やかで美しく、高級モデルらしい仕上げ
SIMカードスロットはピンで外すタイプ
カメラ機能を4モデルで比較
それぞれのカメラ機能を比較していきましょう。実際に撮影してみると、それぞれの画質や明るさなどにはそれなりに差があります。下位モデルのS3、S4と上位機のX2、X3では、かなり違いを感じます。好みによる違いもありますが、筆者個人としてはX2が最も美しく感じました。なお、カメラのメニューなどもほとんど同じなのは、Android Oneらしいところです。
「S3」で撮影
1310万画素のカメラを搭載しています。
曇りの日の公園で撮影した写真は、やや明るすぎる印象を受けた
やや暗い部屋で撮影。窓の白飛びが気になる
花に近寄った写真は4台の中で最もきれいに撮れた
「S4」で撮影
1300万画素のカメラを搭載しています。
滑り台はきれいに写っているが、上位機に比べると背景の白飛びが目につく
やや暗めで壁紙のざらつきも気になる
色合いは美しく撮れている
X2で撮影
カメラは1600万画素です。握ると撮影できる独自機能を搭載します。
背景の白飛びも少なく、とても美しく撮れている
ノイズも少なく、色合いも文句なし
自然な仕上がりで立体感もよく再現されている
X3で撮影
1300万画素のカメラは、なかなか美しく撮れます。
くっきりときれいに撮影できた
やや暗めで、壁紙のざらつきも気になる
色合いもよく、合格点の出来
まとめ:Android Oneはどんなユーザーに向くのか
OSが“素”に近いので、シンプルに使えます。逆に言うと凝ったことはできないため、スマホに大きな期待をしていない人に向くでしょう。一言でまとめるなら「普通に使えればいい」というユーザー向けです。ガラケーを使い続けてきて、そろそろスマホに移行したい人にはよい選択です。
ただし末永く快適に使えるのも、コスパを求める人にとっては重要です。買う時に安くても、1年使ってストレスが溜まるようでは、高い買い物になってしまいます。選ぶなら、上位モデルのX2とX3を推奨します。そもそも基本性能が高くないと、長く使って快適さを得られないからです。ワンセグが欠かせないなら、X3で決まりです。カメラの画質にこだわるなら、X2をおすすめします。
3万円台で買える下位モデルもコスパは悪くないですが、分割で購入する場合の支払額はX3なら月3180円から、S3は月1980円からです。金額の差は月々1000円ちょっとですから、2年以上使い続けるつもりなら、より満足度の高い上位モデルがやはりおすすめです。
7万円近い金額を出せば、もっと性能が高くデザインも素晴らしいSIMロックフリーのスマートフォンも購入できます。しかし、それは「わかっている人」向けです。おサイフケータイやワンセグなどが搭載されているモデルは選べないので、後悔する可能性も否定できません。
スマホの知識があまりなく、シンプルに使いたい人には、ワイモバイルのAndroid Oneもなかなか魅力的な存在といえそうです。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部