負け犬ギークたちの成り上がりコメディ──ドラマ『シリコンバレー』

2018-05-06 11:49
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負け犬ギークたちの成り上がりコメディ──ドラマ『シリコンバレー』

シリコンバレーと言えば、アップルやグーグルが生まれ、世界で最もイノベーティブな街であり、テック業界をリードする存在。そこに集うのは、野心に溢れ、自らのアイデアと技術だけでのし上がろうと向上心を持ったイケている人々──。そんなイメージを持っている人が多いかもしれません。でも実際にはどんな雰囲気なのか、どんな人がそこに住んでいるのか知っている人は少ないのではないでしょうか。

HBO制作のドラマ『シリコンバレー』は、そんな街の雰囲気を的確に伝えてくれます。お世辞にもイケてるとは言えないオタクな連中が、自分たちの技術とアイデアを信じて、時にはムチャクチャしながら夢に向かって突き進む様は、爆笑しながらもたくさんの勇気を与えてくれます。

数々の業界あるあるネタに爆笑

大手IT企業のHooli社に務める気弱なエンジニア・リチャードは、ハミ出し者のインキュベーター・アーリックの家に、変人ギークたちと共同生活しています。家主のアーリックは家賃を免除する代わりに、彼らの開発したプロダクトの利益の10%を得るという形で技術者たちを住まわせていますが、変人たちの作るものはどれもガラクタのようなものばかり。

しかし、ある時リチャードが開発した音楽アプリに使われているデータ圧縮技術に大きな高値がつき、大企業や投資家の間で争奪戦に。リチャードは瞬く間にシリコンバレーの時の人となりますが、自分の作った技術を自身で育てていく決意を固め、仲間とともに、パイド・パイパー社を設立。起業経験ゼロのリチャードと仲間たちは、次々と襲いかかる難問に立ち向かい、世界をあっと驚かせるために悪戦苦闘していきます。

アップルやHPのガレージでの起業を思わせる自宅での創業、資金調達に奔走、急激なアクセス増加によるサーバー負担や特許の問題など、IT業界あるあるネタを数多く散りばめているのが本作の特徴。ウーバーやグーグルなど実在の企業や、スタートアップの祭典「テッククランチ・ディスラプト」など実際のイベントも登場します。さらに、多様な人種が住んでいるシリコンバレーの現在をきちんと反映しており、多くの人種が登場し、かなりキワドい人種ネタのギャグも多数飛び交います。

主人公のリチャードを始め、パイド・パイパー社の面々のギークっぷりがとにかく本格的で、コーディングの際にスペースとタブのどちらを使うかで男女の別れ話に発展するなど、一般人からすると謎のこだわりも面白おかしく描かれます。

笑いながらも気弱なギークの成長に感動

シリコンバレー 動画配信

本作の一番面白い点は、七転八倒し、ボロボロになりながらもリチャードのようなカッコ悪いギークが成長していく様を応援するような気持ちにさせられるところです。

人との会話が苦手で、緊張しやすく嘔吐してしまうリチャードは、それでも自分の作った技術と会社を守るために、大金のオファーを蹴ったり、軌道修正を余儀なくされ自分を見失いそうになっても、自分がなんのために仕事をしているのか、とことん考え抜いて頑張ります。自分は、リチャードみたいに土壇場で踏みとどまれるだろうか、信念を持って仕事できているだろうか。抱腹絶倒の爆笑ネタの数々で笑わせつつも、とても深いことを考えさせられます。

現在、シーズン1から5までリリースされており、動画配信サービスAmazonプライム・ビデオではシーズン3まで視聴可能。IT業界の人はもちろん、あらゆる業界の社会人にオススメの1本です。

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構成・文:杉本穂高

編集:アプリオ編集部