敏腕ヘッドハンターが巻き起こす、先読み不可能な転職サスペンス──ドラマ『ヘッドハンター』

2018-07-22 10:31
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敏腕ヘッドハンターが巻き起こす、先読み不可能な転職サスペンス──ドラマ『ヘッドハンター』

昭和の高度経済成長期が押し広げた日本人特有の働き方。大きな転換期を迎えて久しい今でも最も変化に疎いのは、一番大切なものを実は躊躇なく選択できない、私たち一人ひとりの心なのかもしれません。

ドラマ『ヘッドハンター』は、業界内でも孤高のヘッドハンターが、驚くほどの手腕で候補者と企業のマッチングを次々に成功させていく、転職とは何かを真摯に語りかけるビジネスドラマ。

朴訥と真面目なふりをして巧妙に自分の弱さを隠す候補者には真実を見せつけ、自分の実力を過小評価する候補者には体ごと持ち上げるように自信を授ける。やることなすことすべてが異端のヘッドハンター・黒澤和樹(江口洋介)。候補者とクライアントの素性を徹底的に調べ上げ、最善なマッチングに向けて誰も隙をつけない完璧な計画を練り上げる黒澤ですが、彼が考える「最善」にひと癖あるのがこのドラマの最大の見所です。

専門家の監修による人材斡旋事業のリアルな裏舞台、大手転職斡旋会社との候補者争いやスリル溢れる情報戦など、淡々としながらも息をつかせぬ一話完結型のストーリーは毎回思わず考えさせられる意味深いエンディングを迎えます。そして、黒澤の謎多き過去にやたらと興味がかき立てられるエピソードの数々も。

「あなたの値段、知りたいと思いませんか?」。ちょっとドキッとする決まり文句に、誰しも自分の足元を見つめ直したくなる、「働くこと=生きること」がテーマの大人のヒューマンドラマです。

動画配信サービスParavi(パラビ)では、『ヘッドハンター』の全話が見放題です(2018年7月17日時点)。

人間の本質を見つめさせる、究極の適材適所ストーリー

ヘッドハンター 動画配信 見逃し

ヘッドハンターとは、クライアント企業が求める人材を探し出し、マッチングさせる斡旋者のこと。黒澤和樹は、社員数わずか3人の小さな転職斡旋会社『SAGASU』の社長で業界内では有名なやり手のヘッドハンター。

独特な手法で優秀な人材を引き抜き、心理戦にかけてじりじりと決断を迫っていく。そんな黒澤に、転職斡旋業界最大手「ブリッジ」のシニアバイス・赤城響子(小池栄子)はライバル心をむき出しにしています。

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大手家電メーカーのマルヨシ製作所に勤める音響機器エンジニア・谷口孝雄(北村有起哉)は、構造改革と称して粗雑なリストラを拡大する経営陣に嫌気がさしていました。エンジニアとしての手腕を買われ、これまで3度もあった転職の話をすべて断り続けてきた慎重派の谷口。家のローン、子どもの教育費、新しい人間関係の構築。転職に伴うあらゆるリスクの他に、彼を今の会社に引き留めていたのは、長年かけて彼を育ててくれた先輩との絆でした。

今回、この谷口に業績好調な家電ベンチャーへの転職を斡旋した黒澤。ところが、先輩と共に歩んだ製品開発の日々を懐かしみ、決断を渋る彼を黒澤は「あんた、卑怯者だ。私はまだ新会社にあなたを推薦できない」と唐突に払いのけます。興奮気味に反論する谷口ですが……。

黒澤は果たして真のヒーローなのか

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数ある候補者の中で、なぜその人間を選んだのか。最後まで観ないとわからない、黒澤の考える筋書きは毎回驚きの連続です。

面白いのは、引く手あまたに見える優秀な人材が実は他に居場所がないことや、凡庸に見える人材が具現化する方法やパワーを持たないだけで優れた発想力を持っていることなどを、役者目線ではなく、視聴者が自ら気付くことのできる演出によって随所に散りばめている点。

登場人物の誰一人をとっても、外から見える情報だけで一面的に捉えることはできない。そんな影なるメッセージは、候補者の転職に「彼独自の最善」を尽くす黒澤の本心についても、いろいろと想像させられます。

長いものに巻かれるしかない人間、結果だけ見て人を批判する人間を「ガキ」と呼び、「会社が家族なんていうのは幻想だ」と断言する黒澤。良くも悪くも、滅びかけている従来の労働観を解体する最後の一手となりうる名言も数多く飛び出します。

「転職って、何なんだろう」。観終わった後に、きっとそんな疑問が浮かんでしまう。視聴者取り込み型のリアルな転職サスペンスです。

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