1. 収集ツールの限定とアクションの最小化
いまWeb上では日々膨大な情報が発信されている。その情報の収集、整理・分析、共有・保存を効率よく実行する必要に迫られている人も多いだろう。
その中でも、特にメディア・ブログのRSSフィードから情報を自らの目で選別したい層にとっては、情報の取り扱い方は死活問題になり得る。
そこで最も重要なことは、情報を整理・分析することだ。その過程が重要でないならば、キュレーションサービスから情報を取得するスタイルを採用すれば十分だからだ。
そして、情報を整理・分析することに時間を割くためには、情報の基本収集ツールをできるだけ限定することと、情報を共有・保存するアクションにかかるコストを最小化することが必要になってくる。
そのために、筆者が要として利用しているサービスはIFTTTだ。このIFTTTは、様々なWebサービスを連結させて自動的に利用可能にする「レシピ」を作成するサービス。
今回、IFTTTとはてなブックマーク(はてブ)を軸にして、情報の収集から、整理・分析・共有、保存までを効率よく行う方法を紹介したい(はてブを軸に採用する理由は後述)。
この方法の一番の特徴を挙げるとすると、Feedly上の1クリックで、はてブ・ツイート・Evernote全文保存が可能であるということだ。
利用サービス一覧
2. 情報の流れ
今回紹介する方法の全体像は次のとおり。
3. 収集
RSSリーダーはFeedlyを利用する。IFTTTが正式に対応しているためだ。
4. 整理・分析・共有
RSSフィードをFeedly上で確認していき、「あとで読む」のか、「保存する」のか、「共有」するのかを判断する。
IFTTTが対応している「あとで読む」サービスは、PocketとReadability。現在、FeedlyはReadabilityに対応していないため、Pocketを採用する。
保存する先は、定番のEvernote。共有先は、Twitterを想定しておくが、Facebookにも共有できる(Google+はページのみ機能)。
なお、IFTTTなど複数のサービスを連結させるため、各動作間で多少のタイムラグが発生するので注意してほしい。
Pocketに送る
Feedly → Pocket
あとで読む判断を下した場合、記事をPocketに送る。
Evernoteに直接保存
Feedly → Evernote
共有せずに保存したい場合、Evernoteに直接保存する(PC・Android)。
iOSの場合は、いったんPocketに送ってPocketからEvernoteに保存したり、ブラウザのブックマークレットを活用することになる。
Feedlyから共有
Feedly → はてブ
Feedlyから「はてブ」にブックマークする。残念ながら、Feedlyには、はてブへの共有機能は存在しない。
そこで、IFTTTを利用する。
最初に、IFTTTで事前の準備を行っておこう。
あまり活用している人はいないのかもしれないが、はてブにはメールでブックマークする機能がある。はてブのサイト上の 設定>メール でメール投稿用アドレスを確認できるので、いったんコピーしておく。
次に、Feedly内のあとで読む機能「Save for later」をチェックした場合に、はてブのメール投稿用アドレスにGmailを送信するレシピを作成する。
送信するGmailはこのように設定しておけばよい。
あとは、Feedlyで記事を「Save for later」すれば、自動的にはてブされる。一度慣れてしまえば、とても簡単にはてブすることができる。
ちなみに、今回紹介している方法では、はてブする際にコメントをつけることができないので、コメントしたい場合は、ブラウザの拡張機能やインテント機能(Android)、ブックマークレット(iOS)などを利用する必要がある。
はてブ → dlvr.it → Twitter
次に、はてブした記事を自動的にツイートする設定を行う。ここでは、dlvr.it(RSSフィードからTwitterなどに自動投稿するサービス)を利用する。
はてブには、自分のブックマークのRSSフィードが生成される機能が存在するため、新しいブックマークのRSSフィードが生成されたらdlvr.itを通して自動的にツイートさせることができる。
ブックマークのRSSフィードURLは、
http://b.hatena.ne.jp/ユーザid/rss
だ。マイページのURLの後ろに rss を付け加えればよい。
dlvr.itは、Twitter以外にもFacebookやGoogle+ページに投稿可能(以前に筆者が試した時は、Google+ページに投稿されなかった)。
dlvr.itを利用すればdlvr.itサイト上でツイートのURLクリック数などが分かるので便利だが、ブロガーなどの情報発信者でなければ、はてブのTwitter連携機能を利用するのも1つの手だろう。
筆者の場合、諸事情によりdlvr.itを利用しているため、ここでも採用している。
なお、2013年6月26日に、はてなブックマークではTwitter投稿URLのリンク先が変更される仕様変更があったため、Twitterの設定をしっかりチェックしておいた方が良いだろう。
Pocketから共有
Pocket → はてブ
Pocketには、はてブ連携が用意されていない。そこで、再びIFTTTの出番だ。
まず、先ほどと同様に、PocketでFavoriteした(スターをつけた)記事を、はてブのメール投稿用アドレスにGmailを送信するレシピを作成する。
レシピを作成したら、Pocketで記事をFavoriteする(スターをつける)と自動的にはてブされるようになる。
はてブ → dlvr.it → Twitter
その後は、前述したように、dlvr.itを通して自動的にツイートされる。
Pocket → Evernote
全体図では省略したが、Pocketで記事をチェックした後に、はてブ・Twitterで共有せずにEvernoteに保存したい場合は、Pocketから記事全文をEvernoteに保存することができる。
5. Evernoteに全文保存
共有までで必要十分であれば構わないが、共有した記事をEvernoteに保存しておけば、後日役に立つことがあるだろう。
中には、Evernoteに全文保存するために、今回の方法を採用したいと思う人もいるはずだ。hatebte(ハテブテ)というサービスを利用すれば、はてブした記事を全文で保存することができるからだ。
RSSフィードが全文配信ではない記事を全文保存する方法は複数あるが、総合的に見て筆者はhatebteを選択している(ここでは詳細は述べない)。
hatebte経由
はてブ → hatebte → Evernote
hatebteは、記事以外の部分(サイトのヘッダーやメニューなど)もごっそり保存されるので、見た目はあまり美しくならない。
ノートのタイトルが元記事のタイトルになり、元記事へのリンクも保存される。
Evernoteの保存ノートブックを選択でき、タグも付加することが可能。
twieve経由
Twitter → twieve(ツイエバ) → Evernote
twieve(ツイエバ)は、1日のツイート履歴をまとめてEvernoteに保存することができるサービス。アイコン付きのツイート内容だけでなく、当日までのツイート数やお気に入り数、フォロー数・フォロワー数の増減も同時に記録されるのでログとして残しておくと便利だ。
hatebte同様、Evernoteの保存ノートブックを選択でき、タグも付加することが可能。
6. 本音:はてブをRSSリーダーから活用したかった
はてなブックマーク(はてブ)は、日本発のソーシャルサービスの中でも依然として存在感を発揮しつづけているサービスだ。情報の収集・発信・共有をする過程で、日頃から直接的・間接的に「はてブ」の恩恵に与っている人も多いだろう。
筆者も以前から愛用しているサービスだ。
ユーザあってこその「はてブ」
はてブはキュレーションサービスであるため、数多くの情報源から価値のある情報を選別していく上で、情報感度の高いユーザ層に積極的に利用してもらう必要がある。
はてな側でも、はてブのサービスをTwitterと連携させる機能やブラウザ拡張機能を提供するなど、外部サービスとの親和性を高めることで、ユーザを取り込み、逃さない施策を講じている。
しかし、当然のことながら、はてブユーザもはてブを頻繁に利用するユーザばかりではない。むしろ、他の様々なサービスを利用する中ではてブも利用しているユーザが多いと思われる。
そうすると、ユーザのはてブ利用頻度を高めるためには、はてブから他のサービスを利用するのではなく、他のサービスを利用する中ではてブも利用させる必要が出てくる。はてな側が提供している「Twitterからブックマークを追加する」機能などは、この一例だ。
はてブを普段の情報収集・共有の中に自然に溶け込ませる
だが、Webには、Twitterだけでなく数多くのサービスが存在する。それらのサービスをはてブと連動させれば、より効果的にはてブを使いこなすことができるだろう。そのためには、はてブを普段の情報収集・共有の中に自然に溶け込ませてしまえばいい。
そして、筆者は情報収集を主にRSSリーダーに頼っている。できるだけRSSリーダー上で様々な作業を完結させたい。なおかつ、愛用しているはてブも活用したい。
そういうわけで、少ないアクション数で保存・共有やはてブへのブックマークを効率よく行うために、今回紹介した方法でははてブを軸にしたわけだ。また、この方法を利用すれば、Evernoteに簡単に記事の全文保存が可能である点も魅力だった。
7. IFTTT連携の構築で大切なこと
紹介した方法を参考になっただろうか?
筆者は、今回紹介した方法を基本にして、さらに他のサービスを複合的に連携させて活用している。この記事中でも、言及しきれていない活用法がいくつもある。それらは、また別の機会に記事化しようと思う。
自分に合った使い方を考えてみるのが、IFTTTを利用する上での醍醐味。
大切なのは、自分が普段接する情報をどのように扱っているのか、しっかり把握することだ。自分が情報の価値を判断する前後における情報の流れを自ら分析することで、最適な連携方法が見つかるだろう。