Google「永久に撤収」、69%のサイト閲覧者が離脱するほど嫌われる全画面広告を中止した結果を報告

2015-07-27 9:16
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Google+のインタースティシャル広告

全画面広告「インタースティシャル広告」の効果を検証したGoogleによる報告が、ちょっとした話題になっています。Google+モバイルサイトの訪問者に対してGoogle+アプリのダウンロードを促す広告を表示していたところ、69%のユーザーがページを放棄してしまったというのです。

Google+: A case study on App Download Interstitials

Official Google Webmaster Central Blog: Google+: A case study on App Download Interstitials

インタースティシャル広告がユーザーの69%にサイト閲覧を諦めさせる

広告はコンテンツ業界において収益確保の主要な手段として重要な地位を占めています。ネイティブアプリやモバイルウェブの世界でも同様で、さまざまな形式の広告が採用され、ユーザーに提供されています。

インタースティシャル広告は、アプリの起動時やページ遷移時などに全画面に表示されるのが大きな特徴で、クローズボタンやVISITボタンなどを押さないと目的の画面に移動できなかったり、時間経過とともに自動的に次ページに遷移したりするタイプの広告。デスクトップウェブの時代から大手ニュースサイト訪問時などで最初に記事ではなく大きく表示されてきた広告をイメージしてもらっても分かりやすいでしょう。

Google Developers インタースティシャル

全画面広告という点ではテレビCMと類似した効果があり、ダウンロード待ちの時間など適切なタイミングで表示すれば、有益な情報提供の観点からユーザーにとって必ずしも不利益となるものではありません。一方で、目的のページに移動するタイミングで差し込まれるタイプのインタースティシャル広告は、あまりユーザー受けが良くないようです。

Googleのケーススタディは、後者のタイプに該当するインタースティシャル広告に関するもの。ソーシャルサービスのGoogle+にスマホ向けウェブブラウザでアクセスするとモバイルサイトが表示されますが、2014年時点ではGoogle+のネイティブアプリをダウンロードしてもらうためにインタースティシャル広告を表示していました。サービス側の論理では、より機能的でリッチなユーザー体験を提供するためにネイティブアプリをインストールさせようとするのは妥当だ、ということでしょう。「多くのアプリデベロッパーは、そう信じている」とGoogleは述べています。

しかし、Google+アプリのダウンロードマーケティングが直面した現実は厳しく、"良かれと思って"採用した施策がかえってユーザーを自分たちのサービスから遠ざけることになりました。

  • インタースティシャル広告が表示されたユーザーの9%が"Get App"ボタンを押した(インストール済みユーザーやアプリダウンロードに至らなかったユーザーも含む)。
  • 69%のユーザーがページを放棄した(アプリストアに移動しない/そのままモバイルサイトの閲覧に進むこともしない)。

インタースティシャル広告が表示された時点で、約7割のユーザーがページを離脱してしまうというのは、想定以上のダメージだったようです。

インタースティシャル広告を中止した結果

そして2014年7月、Google自身のモバイルSEOガイドで推奨されているとおりにバナー広告手法に切り替えた結果には「驚かされた」(Google)といいます。

モバイルSEOガイド インタースティシャル

あくまでも"Google+の場合は"という限定が付されますが、以下の調査結果は興味深いものになっています。

  • モバイルサイトのDAU(デイリーアクティブユーザー)は17%増加。
  • iOS向けのネイティブアプリのインストール数は2%減となり、ほとんど影響を受けなかった(Android向けネイティブアプリはプリインストールされていることが多いので調査対象外)。

この調査により、Google+のモバイルサイトの場合、インタースティシャル広告は逆効果だったことが明らかになったわけです。Googleはこの結果を受け「(Google+モバイルサイト訪問者に対するアプリダウンロードを訴求する)インタースティシャル広告を永久に撤収させる」ことに決定したとのこと。さらに、Googleは他のアプリデベロッパーに対してもインタースティシャル広告の利用を再考するように促しています。

追記(2015/07/27 10:35):Googleが広告部門も含めて全社的にインタースティシャル広告の取り扱いを中止するというわけではありません。一方で、ウェブマスター向けのブログに記事が掲載されていることから、Google+以外の自社サービスのアプリダウンロードを訴求するインタースティシャル広告の表示をGoogleが中止する可能性は残されています。もっとも今のところ、Gmailのモバイルサイトなどではアプリダウンロード訴求のインタースティシャル広告が表示される状況に変わりはありません。GmailとGoogle+ではサービス特性が異なるため、対応に違いが出ているということでしょうか。

Google+、モバイルウェブにおけるユーザー体験の向上に舵を切る

Google+は2015年2月にモバイルサイトを刷新。ネイティブアプリによく似たデザインになり、ユーザー体験を大きく向上させました。その裏には、2014年夏の調査が示した悲劇的な衝撃が隠されており、モバイルウェブをより良くする動機となったということでしょう。

Google+ モバイルウェブ版

今回のケーススタディは、インタースティシャル広告全般を調査したものではなく、一般論として全画面広告を否定するものではありません。ただ、広告が、ユーザー側とサービス側との間でWIn-Winになる表現を追求すべきであるという点は異論のないところ。全画面広告がユーザー体験を大きく阻害し、サービス自体の成長に悪影響を与える可能性を示唆している調査結果をサービス事業者は重く受け止めるべきなのかもしれません。