Google、新バージョン「Android L」プレビュー版を発表 マテリアルデザイン採用とパフォーマンス強化

Android L

Googleは25日、Google I/OにおいてAndroid OSの新バージョン「Android L」の開発者向けプレビュー版を発表した。バージョン番号がAndroid 4.5とAndroid 5.0のいずれになるのかは不明。明日には試せるようになるが、正式にリリースされるのは今秋の予定だ。

大きく分けて、デザイン・UIの改革とパフォーマンス向上がAndroid Lのポイントだ。

マテリアルデザイン採用、UX刷新

マテリアルデザイン

かねてから噂されていたとおり、GoogleはAndroid OS、Chrome OS、Webを通してクロスプラットフォーム・デザインの道を進むことになる。モバイルファーストかつシームレスな体験を、「Material Design - マテリアルデザイン」によって実現する。

まずは以下の動画を確認してほしい。

マテリアルデザインは直訳すれば「材料デザイン」となるが、言わんとするところは現実に存在する物質や動き、光源などを意識するということだ。Googleは、このことを単純に説明するために「紙とインク」という表現を用いている。

ただ、それはiOS 6以前のデザインのようなスキューモーフィズム(現実のモノと似せた外観にすることで理解を助ける)ではなく、フラットなデザインを基調としている。その上で、影やアニメーション、色彩を活用して、どの要素を操作できるのかをユーザーは直感的に理解可能。リアルタイムで影をレンダリングし、立体的にインターフェースをデザインする。

アニメーションでUIが変化するので、ユーザーは何がどう変化したのか戸惑うことがなくなるはず。ステータスバーの色もアプリのカラーリングに合わせて変化する。また、アプリのアイコンも一新される。

UX刷新、通知機能も新しく

通知機能も新しくなる。Google Nowのようなカード形式となり、ロックスクリーン上にも表示される。また、アプリを立ち上げている時などには、上部に緊急性の高い通知カード(電話がかかってきた場合など)が表示されるHeads up機能を採用、すぐに通知を確認・操作可能となる。

Android L

発表会場で喝采を浴びたのがロック画面解除の新方式。Android Wear搭載のスマートウォッチを身につけているとロック解除が不要で、身につけていなければパターンロック解除が必要となる。

マテリアルデザインと合わせて、新しいUX(ユーザー体験)を提供する。

モバイルウェブにおけるUXも新しく

モバイルウェブにもマテリアルデザインを採り入れる。

アプリの履歴、マルチタスク画面の表示もカードスタイルに。Chromeで開いているタブとアプリの履歴が一緒にマルチタスキングされる。表示のスタイルも大きく変更され、カルーセル形式に。奥から手前にカードを移動させる。

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また、アプリのインデックス機能を全てのアプリに開放。Google検索結果から直接アプリを開くことができるようになる。

ひっそりと下部メニューバーのデザインが変更

発表中に触れられなかった気がするのが、下部メニューバーのデザイン変更。三角、丸、四角のシンプルなものに変わっている。

パフォーマンス向上

デザイン、UXの改革だけでなく、パフォーマンスも向上する。

ランタイムにARTを導入

Android Lでは、ランタイムに「ART」を本格導入する。ランタイムとは、アプリケーションを動作させる共通の土台となるプログラムのこと。これまでのランタイム「Dalvik」と比べると、同じデバイスを使用した場合でも大幅にパフォーマンスが向上する。

Android L

また、64-bit CPUへの対応も発表された。

グラフィックス性能の向上

Android Extension Packを利用できるように。テッセレーションやジオメトリシェーダー、コンピューターシェーダー、ASTCテクスチャ圧縮などに対応する。PCゲーム並のグラフィックスを実現できるとのこと。

バッテリー性能を向上させるProject Volta

Project Voltaでは、バッテリーを長く持たせるためのツール・APIを提供する。どのアプリ・機能が電力を消費しているのか突き止めるツール「Battery Historian」と、開発者向けのJobScheduler APIで消費電力を低下させる。

Android L

省電力モード「Battery Saver」も搭載する。

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