24時間、すべての国内通話が無料で「かけ放題」になる通話定額制を採用した新料金プランが話題だ。ドコモの「カケホーダイ&パケあえる」に続いてSoftBankが「スマ放題」の導入を発表し、auもそれらに追従するとみられている。
たしかに、"無料"というキーワードはインパクトが強いが、基本使用料は2700円と従来の基本使用料に比べ、安くはない。これまで基本使用料は1000円以内が主流だったなかで、通話の利用時間が少ない人にとっては負担が増えるように感じるだろう。
最初は、筆者も「通話料が無料」という触れ込みに興味を持ったものの、よくよく考えるとスマートフォンを契約して以来、通話の利用時間が減った。通話をしないというわけではなく、長電話をしなくなったのだ。
仕事で外出している時に、取引先などに折り返しの電話をすることはあるが、5分程度で済ませることが多いし、会社メールを受信できるようにしているため、外出先でも仕事のメールを返せてしまい、電話をする機会が減った。家族や友人とのコミュニケーションもSkypeやLINEで済ませることが多くなった。コミュニケーションが音声通話からデータ通信に移行しているのだ。
そのような日常を考えると、「かけ放題」をウリにする新料金プランに変更した場合に"もとを取るのは難しいのではないか"と思ったのだ。ここで改めて、スマートフォンの通話料金について、考えるキッカケになった。
従来のスマートフォンの料金プランでは、国内の固定電話や携帯電話と通話すると「30秒あたり20円」の通話料が発生する(※1)。
フィーチャーフォンのプランには基本料に「無料通話」が含まれており、通話を多くする人向けに通話料の安いプランMやLといったものが用意されていたため、自分のスタイルに合わせて料金プランを選ぶことができた。しかし、スマートフォンのプランではこのような選択肢はなくなり、通話をした分、青天井で通話料がかかる形となっている。通話料を割引するオプションサービスはあるが、1000円弱の追加料金がかかってしまう。
そんなときに注目したのが通話割引サービス「楽天でんわ」である。
「楽天でんわ」のアプリを使うと国内通話は「30秒あたり10円」、国際通話も32ヶ国・地域に対し「30秒あたり10円(非課税)」で利用することができる。「楽天でんわ」の初期費用と月額基本料は無料なため、とても使いやすい。
※1:ドコモ「タイプXi」「タイプXi にねん」、au「LTEプラン」、SoftBank「ホワイトプラン」を契約中のユーザーが、通話料割引オプションに加入していない場合(国際通話を除く)
「楽天でんわ」とは
「楽天でんわ」は、電話をかけるとき、自動的に相手の番号の頭に「0037-68-」をつけることで通話料を半額にするサービスだ。相手には「0037-68-」は表示されず、利用中の自分の電話番号(090や080など)が表示されるので、電話を受けた人に不審がられる心配はない。
「楽天でんわ」のアプリでは、ユーザーが登録している連絡先を同期でき、かつ、その番号に自動的に「0037-68-」をつけて発信するため、手間なく電話をかけることができる。同じキャリア間や家族間で通話するために「0037-68-」を付けずに発信することも可能だ。
通話品質はIP電話などとは異なり、電話回線を利用するので良好。初期費用と月額基本料はかからず、通話料金のみ発生するモデルなので、通話料金を抑えることが可能になる。通話料100円につき楽天スーパーポイントが1ポイント貯まるというのも嬉しい。
「楽天でんわ」の利用登録は簡単で、楽天の会員であればさらにスピーディにできる。しかも、利用登録後、すぐに使うことが可能だ。
実際に利用してみたところ、アプリの操作で特に難しいことはなく、いつも通りに電話できた。
これまでは月の通話料金が1000円だったところが、500円で済む。年間で6,000円、簡単な登録だけで、この金額を浮かすことができるのは嬉しい。
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「楽天でんわ」の利用を想定して、新旧プランを比較
「楽天でんわ」の利用を想定し、新料金プランに移行したほうがよいのか、しないほうがよいのか。実際のプランをもとに比較してみたい。
新料金プランは家族とのデータシェアが可能だが、条件を合わせるために1人で利用することを想定する。また、データ容量が新プランの場合「データSパック」で2GB、「データMパック」で5GBと旧プランに比べ、月間のデータ通信容量に差があるため、データ容量については、各プラン合わせる形とした。
利用可能なデータ量が3GBの場合
ドコモの基本使用料で「タイプXi にねん(743円)」を選択し、パケット定額サービスで「Xiパケ・ホーダイ ライト(4700円)」を選んでいた場合、SPモード(300円)を合わせると「月額 5743円」になる。
新料金プランでは基本使用料が2700円で、データSパック(2GB)が3500円。利用可能なデータ量を同じ条件の3GBにすると1GB分を追加する必要があるので、1000円追加となる。それにSPモード(300円)を合わせると「月額 7500円」になる(データSパックでは15年以上の利用者の場合は600円の割引があるが今回は適用していない)。
2つのケースでの差額は1757円。従来のプランを維持したまま「楽天でんわ」で通話する場合、1757円の料金に到達するまでに約87分の通話が可能だ(「楽天でんわ」を使わなければ約43分の通話が可能となる)。
つまり、ひと月の通話時間が約87分を超えないのであれば、料金プランを変えずに「楽天でんわ」を使ったほうが低コストで運用できる。
利用可能なデータ量が7GBの場合
ドコモの基本使用料で「タイプXi にねん(743円)」を選択し、パケット定額サービスで「Xiパケ・ホーダイ フラット(5700円)」を選んでいた場合、SPモード(300円)を合わせると「月額 6743円」になる。
新料金プランでは基本使用料が2700円で、データMパック(5GB)が5000円。利用可能なデータ量を同じ条件の7GBにすると2GB分を追加する必要があるので、2000円追加となる。それにSPモード(300円)を合わせると「10000円」になる。データMパックでは10年以上の利用者の場合は600円の割引があり、15年以上の利用者の場合は800円の割引がある。ここでは600円の割引が適用されることを想定し、「9400円」で考えてみたい。
2つのケースでの差額は2657円。従来のプランを維持したまま「楽天でんわ」で通話する場合、2657円の料金に到達するまでに約132分の通話が可能だ(「楽天でんわ」を使わなければ約66分の通話が可能となる)。
ドコモの利用歴が10年以上であっても、ひと月あたりの通話時間が約132分を超えないのであれば、料金プランを変えずに「楽天でんわ」を使ったほうが安く済む。
自分にとってベストなチョイスを
「楽天でんわ」の存在を考慮すると、1カ月あたりの通話時間が短いのであれば、「通話定額制を選ばない」という選択肢も浮上してくる。長電話をする場合には「通話定額制」を選ぶのが賢明だが、本当にそんなに通話をするのか。自らのライフスタイルを振り返ったうえで考えてみると、ベストな判断ができるのではないだろうか。
なお、ドコモが提供している現行のXiのプランについては、9月1日以降はプランを戻すことができないので、自分のデータ使用量を把握しておかないと新プランで追加データ容量を購入するハメになってしまうので、注意が必要だ(ソフトバンクについては、現行プランの受付停止などは未発表)。
焦って新プランに加入する前に「本当に新料金プランはオトクか?」ということをしっかり考えてみよう。
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